約 1,265,319 件
https://w.atwiki.jp/lanove/pages/311.html
刊行一覧 世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する 8
https://w.atwiki.jp/lavato_heros/pages/1530.html
カードリスト 能力 http //login.alteil.jp/lhCardDB/detail.php?id=2534 解説 LV1で10-30-5の高ステータスとSP+2のオープンスキルを持つが、手札を手札をランダムに捨てるデメリットをもつゴウエンの妖精族ユニット。 ステータス的には先攻こそないものの、並みのLV3高速型ユニットよりもATが高いため使いやすい。 強制再生を使うと差し引きリソース1消費だけで優勢で火力120点のAGI5ユニットが出るなど、コストパフォーマンスはかなり高い。 しかしランダムの手札コストが非常に大きい。 非優勢で使えるほど強力でもなく、サポートが無いとHPが不安なため手札消費も激しくなる。 強制再生や緊急回復などを軸にしたファイルの赤担当としてならば入るかもしれないが、ドロー加速ギミックは必須になるだろう。 なお、カード2枚とSP1払った上でのSP+2なので、リソース増加は一切ない点も注意。 コンボor必殺コンボ カード名 あれば。なければ空欄のままで。 解説や弱点など。 カード背景 ラヴァートの世界ではどんな人物or事件or魔法なのか 関連ファイル ファイル名 関連カード カード名 関連用語 用語 収録 どのパックに入っているか? カードリストからコピペしてください。 また着せ替えの有無もここに
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/153.html
暗殺者のおしごと-The style of assassin ◆SERENA/7ps 悲しみも、不安も、恐怖も、辛さも……今はすべて忘れていよう。 何もかも、真っ白にして。 揺れるこの心も、これから先、私が選ばなければならない道も、いまだけは桃源郷の彼方。 そう、ここに嫌な物は何一つない。 苦手の男の人も、怖い魔王も、襲ってくる誰かも、ヒヨコも……。 あるのは何もかも忘れて、身を委ねたくなるような温かいものばかり。 うん、分かってるの。 それが私の我が儘だって。 リンとヘクトル様をお助けしないといけないのは分かってる。 でも、今はとても疲れていて。 ここに来てから誰かに心を許したこともなくて、ずっと緊張の糸を張り詰めていたから。 その緊張の糸が一気に切れたとき、どうしようもなく眠くなった。 痛みと疲れで、抗いがたい欲求が込み上げてきた。 だから、今だけはエドガーさんの背中を借りて眠った。 ずっと迷っている考え事を先送りにしてたけど……。 起きた後でそのことについてまた考えればいい。 性急な決断をしてもいいことは何もないから。 それに、罪もない誰かを殺すのはやっぱり気が引けるから……。 だから今はもっと深く、深く意識を沈める。 今だけはこの淡い温もりに浸っていよう。 そして、チョコレートのように甘い夢を見るの。 リンもヘクトル様も、ニノもいる素敵な夢を―――。 ◆ ◆ ◆ 美しい女性だと、私――エドガーは一目見たその時から思った。 エメラルドグリーンの色を持つ、絹糸のような繊細な髪の毛も。 彼女の持つ、神秘的な雰囲気と佇まいも。 憂いを帯びたその表情でさえも、彼女の美しさを一層引き立てる要素に思えた。 幾多の女性を口説いてきた私でも、一瞬口説くことを忘れ思わずため息を漏らしてしまうほど。 それほどまでに、ティナ・ブランフォードは美しい女性だった。 でも、同時に幸の薄い女性だとも思った。 ガストラ帝国によって思考を奪われ、物言わぬ人形へと変えられ、したくもない人殺しをさせられたのだから。 記憶を失って、自分が何者であるかも分からない内から、失われた魔法を使えるという理由で特別視され、帝国への反抗組織「リターナー」へと協力を依頼された。 もちろんそこに、帝国と同盟しておきながら「リターナー」に協力していた私自身の計算や狙いもあったのだが。 そこから、目まぐるしく彼女の周囲を取り巻く状況は動き続け、ケフカを始めとする数々の敵と戦い続け、ようやく平和と幸せを手に入れたはずだ……はずだったんだ。 戦いの中で、幻獣と人間のハーフだったということが判明したティナ。 故に、と言うべきかは今となっては分かりようもないが、彼女は愛や恋といった感情を上手く認識できずにいた。 そういう概念がないのではない。 上手く認識できなかっただけなんだ。 だから、いつもそのことに苦しんでいた。 自分が他の人とどこか違うと、彼女は真剣に悩んでいた。 世界が崩壊した後、小さな村で暮らす内にようやく愛情などの自分に欠けていた感情の正体を知り、人としての幸せを得られるはずだったんだ。 でも、ティナに待っていたのは幸せな日々ではなく、未知の島での無念の死。 ああ……まったくもってやるせないな。 彼女に死なないといけないほどの、一体どんな罪があったというのか、誰か教えてくれるのなら教えてほしいものだ。 それに、許せないじゃないか。 ティナを殺した誰かも、こんなことをさせるオディオも、そして、仲間の死に駆け付けることもできなかった私の無能さも。 だから、俺は皆を纏め上げる『王』を探し求める。 『王』なんて大仰な肩書でなくともいい。 『リーダー』でも、『まとめ役』でもいいのだ。 とにかく初対面に等しい人間の間に生じる衝突や軋轢といったものを緩和し、オディオを倒すという目的に正しく導ける役目を持った逸材。 右も左も、どうすればいいかも分からないこの絶望の状況の中から、一筋の輝く希望を見出せる存在。 そういった『王』を見つけ出すのがここでの俺の役目。 それに、それ以外にもやらないといけないことは多い。 例えば、ケフカへの対策。 ティナが死んだことにより、対ケフカへの重要な戦力が一つ失われてしまった。 幻獣と人間のハーフであるティナは、幻獣の力を解放する「トランス」を使えば、絶大な力を発揮できる。 無論、ティナ一人がトランスしたくらいであのケフカを倒せる訳ではないが……。 ティナやシャドウに私、セッツァー、そして弟であるマッシュや他の多くの仲間の力を合わせた上で、それでもギリギリの勝利だったのだ。 対ケフカにおいて、ティナは重要な戦力として計算していたが、大幅に修正を余儀なくされてしまった。 ……戦友が死んだ割にやけにドライじゃないかって? ああ、確かに人からは切り替えが早すぎだと思われるかもしれない。 でも、私は――エドガー・レネ・フィガロは国王であり、皆を導くと心に決めたのだから。 敵と対峙した時、睨みつけるだけでは敵は倒せないだろう? それと同じで、誰かが死んだ時に悲しんでいるだけでは、オディオもケフカも倒せたりはしないのだ。 それに、ご心配なく……。 外見は平気なように見せかけているだけで、私自身内心では嵐のような感情がうねり狂っているのだから。 シャドウのこともあったし、平静なように見えて私自身も色々と思うところがある。 かつての私の仲間が、盤石の意思で統一されているということはない。 シャドウとは少しだけ心を通わせることができたが、それでもシャドウと私の目的が今のところ相反するものであることに否定の余地はない。 ケフカへの対策のこと、ここに集められた人間全員にはめられたこの窮屈で忌々しい首輪を外す方法の模索、 魔王オディオ打倒のこと、もっと多くの仲間を集めること、シャドウをはじめとする目的を異にする者への対処。 やらなければならないことは山積みだ。 でも、今は休憩の時間だ。 フロリーナが寝ているからな。 死者の発表の時間になっても、寝ていたままだった。 緊張の糸が一気に切れたのか、泥のように眠っている。 私も眠ってくれていた方が好都合なので、起こすこともしなかった。 開始から六時間経って、そろそろ睡眠が必要になってくる時間帯でもあったし、シャドウとの戦いの影響もあるだろう。 男性が苦手なようだから、もう一度私の目の前で眠ってくれ(安全のためであって、他意はない)と頼んだところで、素直に聞いてくれる確率も低い。 ここは起こすことなく熟睡してもらおう。 どうせこれから過酷な戦いがいくつも続くはずだ……フロリーナの戦いの相手が誰なのかは置いといて。 人間は睡眠しないと生きていけない動物だ。 いつか寝ないといけないのなら、今寝てもらった方がいい。 それに……あの気持ちよさそうな寝顔を起こすのは紳士として躊躇われた。 今フロリーナは私がいるこの部屋とは違う、下の階にある一室に横たえて眠ってもらっている。 ああ、あれは若さとあどけなさと幼さと美しさとかわいさが同居したいい寝顔だった。 よほどいい夢でも見ているのだろうか? 少しくらい、この顔を私の前でもしてくれたらいいのになと思う。 警戒されるような、怪しいことは何もしていないはずなのだがね。 ヘクトルという男の前でなら、こういう顔をしているのだろうか? まぁヘクトルという男に会えば、その辺りのことも分かるだろう。 私は睡眠は後回しでいい。 元々、国王という激務についていたからな。 普通の人の半分以下の睡眠でも問題なく活動できるつもりだ。 だから、この村に着いてフロリーナを安全な場所に寝かせた後は、ある程度の探索はしておいた。 地図を見た時から分かっていたことだが、この村はかなり広大なようで潜伏する場所には事欠かない。 とは言っても、無数にある建物の中から無為無策で休憩、及び潜伏用の拠点を選んだりはしない。 様々な立地条件、もしもの時に撤退しやすい構造かどうか等を吟味させてもらった結果、この建物にお邪魔させてもらったわけだ。 そして、選んだのは村の中にある一番大きな家、壽商会(ことぶきしょうかい、と読む)。 長い時間をかけて拠点に選んだだけあって、ここは誰かが襲ってきても迎え討つことも、すぐに逃げ出せることもできるような立地条件になっている。 その一室で機械弄りをさせてもらっている。 商会という名ではあるが、ここで何か売っていたような形跡は見受けられない。 どちらかというと、研究所とかそういった名称の方が適切なように思える。 ドリルもノコギリも、およそ工学的な道具類を全くもってなかった私が機械弄りをできている理由は、この壽商会に様々な工具類が置いてあったからだ。 そこにあった見たこともない技術系統に、マシンナリーとしての血がざわめいてしまった。 昭和ヒヨコッコ砲をみたときと同じ気持ちが湧き起こってきたのだ。 フロリーナが寝ていたこともあったし、私はここに置いてあったものを渡りに船とばかりに解体しては再度組み立てたりして、好奇心を満たしていった。 正直、最初にこの建物に入った時はこの家の持ち主のセンスを疑ったりしたものだ。 茶色い壁に、意味不明のオブジェクトが所狭しと並んでいたのだから。 変なお面があったり、いかがわしい模様の壺がいくつもあったり、ピンクのゾウがあったり、そんな訳の分からない物がいっぱいある中に木琴という常識的な楽器が一個だけ置いてあったり……。 およそ私の備えているセンスとか常識とかいったものでは、理解しがたい構成がされていた。 しかし、この私でさえ未知の部分といえる領域に踏み込んでいる技術だけは感心できる。 願わくば、この建物の主と酒を呑みながら、お互いの持つ機械の知識を大いに語り明かしたいものだ。 無論、その相手が美しい女性であるなら言うことはない。 相手が犯罪になる年齢でなければ、基本的に私はノーボーダー。 年齢で好きになる人の対象の範囲を狭めるのは愚かだと言うものだ。 「ふぅ……」 カチャカチャと音を立てていた行為をやめ、夢中になっていた機械弄りを中断し一時休憩に入る。 現在のところ、私の好奇心を最も刺激しているのは「物質転送装置」なるものだ。 読んで字の如く、何かを遠い場所に転送できる装置のようだ。 しかもこの機械、おそらく人間でさえも転送できる設計がなされている。 マシンナリーとしての私の勘がそう告げている。 この機械でさえも夢中で解体していたところ、設計の随所にそういう意図が見受けられたからだ。 勘というのは当てずっぽうなどではなく、豊富な経験に裏打ちされた重要な能力の一つだ。 それを勘で悟った時、今度は私の好奇心と同時に使命感が膨れ上がってきた。 人間でさえも転送の対象に入るのなら、必ずやこれは我々の便利な移動手段になる。 森や山を越えるのは大幅に体力を消耗するからだ。 しかし、残念ながら解体していたこの機械の配線の構造などを見ていた時、少し設計に齟齬というか、不備を見つけてしまった。 便利な装置を見つけ無警戒に使用しようとした人間をはめるオディオの罠なのか、設計者の単なるミスなのかはよく分からない。 おそらく、このまま使用していれば、装置が壊れたり爆発してもおかしくなかったんじゃないかと思う。 私が一番に見つけたのは僥倖というものだろう。 しかも、ミスしていた部分は私の知識でもカバーできるものであった。 これ幸いとばかりに、私はそのミスの部分を直していたのだ。 「さて、少し休憩するとしようかな」 神経をとがらせて作業していたため、少し疲れが残る。 大体工程の半分くらいは消化できたと思う。 特に作業に詰まったところもないが、機械弄りというのは精密な作業な要求されるから、見た目以上に疲れる。 背筋を伸ばして、伸びをする。 凝った肩や腰を揉み解しながら、もっと下の階層に階段を使って降りていく。 同じような間取りの部屋を10回、カツカツと靴の音を立てながら降りた。 降りても降りても同じような空間が続いてたから、最初にこの階段を利用していたときは自分が同じ場所を延々ループさせられているような錯覚に陥った。 だが、数えながら階段を降りること10回目、私は無事ループさせられたのではなく、ちゃんと迷うことなく最下層にたどり着いた。 この壽商会を逗留場所に選んだのには、二つほど理由がある。 一つ目は言うまでもなく安全及び防衛上の問題。 二つ目ははさっきも言ったように私の好奇心を満たすため。 階段を降りても降りても同じような空間が続けば、同じ場所を延々と迷ってるような感覚に陥るのは分かるだろう。 そこで、人によっては何者かによる罠などの可能性も考え、階段を最下層まで降りきることなく、引き返す可能性もあるからだ。 また、誰かが襲ってきても、上の方の階層にいる私が敵を食い止めることができる。 フロリーナは最下層に横たえて寝かせてある。 睡眠という、生物に欠かせない欲求を満たす上で問題になるのが、寝込みを狙った襲撃。 ここはそんな安眠を貪る上で、ベストとは言えないがかなりの好条件だ。 最下層にたどり着きフロリーナの寝顔を盗み見ると、そこには先ほどと変わらない、安心しきった寝顔を浮かべていた。 多少寝心地は悪いだろうが、それは安全の確保という名目上、我慢して欲しい。 そしてもう一つ、最下層の主とも言うべき物体と対面する。 それは私とフロリーナがここに来たときから、ずっと鎮座していた。 一言で形容するならば、「ブリキを材質に使った超巨大な魔導アーマー」か。 名前はブリキ大王というらしい。 大王……王である私よりも偉い存在なのか……などという他愛もない思考が過ぎる。 何故材質がブリキなのかはよく分からない。 確かに腐食しにくいという特性はあるが、それならミスリルなどを使ったほうがよさそうなものだが……。 ブリキ自体に何らかの儀式によって、効果や属性が付与されているのかもしれない。 それよりも、これを超巨大な魔導アーマーと呼称したのはちゃんと訳がある。 明らかに、これは戦闘を目的とした設計が成されているのだ……しかも、「肉弾戦」を主眼とした設計方法が。 もちろん、ミサイルやレーザーなどを射出するための機構らしきものはあるにはあるが、それはこの機械のメインウエポンではない。 頑丈に作られている巨大な腕と脚部は、明らかに物を掴むため巨体を支えるためというよりは、敵の破壊を目的にされている。 仮に魔導アーマーとこのブリキ大王が戦ったとき、それはもはや勝負とはいえない一方的な惨殺になるであろう。 勝者がどちらかは言うまでもない。 ガストラ帝国の物でもない、ましてや我がフィガロの物でもない。 そんな巨大な戦闘兵器がこの壽商会で沈黙して、訪れる客を待ち構えていた。 初めて見たとき、私は思わず圧倒されたものだ。 この兵器が襲ってくる可能性も懸念したが、頭部にあるコクピットらしき場所に誰かが乗り込まないと操縦できないようだ。 頭部に乗る方法はご丁寧にここの一階に貼り紙がしてあった。 ちなみに貼り紙に書いてあったのはこうだ。 『ブリキ大王に乗る方法 まず ピンクのゾウをさわり 本を読む。 そして もっきんをたたき 青いマスクをさわったら 地下のブリキ大王を よ~く おがむ(手を二回叩いてな~む~、と言う) しかる後、 ちゃんと手をあらってから トイレにしゃがむのじゃ』 ……一応、ゾウも本も木琴もマスクもトイレもあるにはあったが、何故ここまで面倒な方法なのかは理解に苦しむ。 有事の際に、ここまで複雑な手順を取る余裕があるのだろうか? そうは言っても、実のところこの手順を忠実に試したわけではないが。 仮に、これで本当にブリキ大王が起動したとしても、操作法を誤って同じく最下層にいるフロリーナを踏み潰したりしては笑い話にもならないからだ。 それに、あの巨体が地下深くからどうやって地上に出るのかという疑問も尽きないが、ここは海岸近くにある建物。 ブリキ大王が出撃するための出口が海に通じていて、そこから出てきたりする、というのは都合がよすぎる考えだろうか? それも含めて、試すのはフロリーナが起きてからになるだろう。 図らずも、使いこなせば強力な兵器と便利な装置が見つけられた私だが、未だに光明は見えない。 魔王オディオに対抗する足がかりも、首輪を外す目処もまだ立ってない。 ここにある設備なら多少は首輪の解析もできるかもしれないが、如何せんサンプルとなる首輪がない。 私自身やフロリーナの首輪を、首に嵌めたまま解析するのは言語道断だからだ。 さっきも確認したが、やることは本当に山積みだ。 だが、今の私はへこたれない。 やるべきことをキチンと思い出せたからな。 腑抜けていた時ならともかく、今の私には使命感がある。 それに戦友に――シャドウに誓ったからな。 我が弟であるマッシュも、その場にいたら腑抜けている私は私なんかじゃないと言っていただろう。 未だ眠りから覚めない眠り姫の寝顔を最後に拝んでから、決意を胸に秘めて私は階段昇っていった。 ◆ ◆ ◆ 私の名前はフロリーナ。 イリア天馬騎士団の見習いで、今はキアラン侯爵家に仕えている。 傭兵稼業が盛んなイリアの天馬騎士団に入団するためには、ある一つの条件がある。 それは、「一定期間、他国の騎士団、または傭兵団に仕えた経験があること」 外で得た知識と経験は、必ずその人の血と肉になって役立つかららしい。 イリアにいるだけでは決して得られないものが手に入る。 だから、私もそれに習ってキアランの騎士隊に入隊した。 男の人が極端に苦手な私にとって、他所の騎士団はイリアと違って男の人ばかりで窮屈だったけど、 そこは親友のリン――今は主従の関係だからリンディス様と呼ばないといけないけど――がいる場所だから頑張れた。 男の人が嫌いなわけじゃないの、でも……どうしてか男の人が目の前にいると緊張して声がどもってしまって……直さないといけないのは分かってるけど……。 とにかく、リンがいたし、いつか立派な天馬騎士になってお姉ちゃんたちを喜ばせたいから、私はいつも頑張ってこれた。 極寒の地であるイリアは一年中雪が降り続け、作物がまともに実らない。 主な稼ぎ口は他国で傭兵をするとか、そういうのしかない。 だから、イリアの人間は他国では嫌われることもある。 戦争好きだとか、人殺しが趣味だとか、そういう謂れのない嘲笑や侮蔑の対象にもなる。 昔は、そう言われるのが私もいやだった。 だって、そうでしょう? 人殺しとか言われてうれしい人間なんていないから。 昔は、じゃあ皆で他の国に移り住めば傭兵なんかしなくてもいいって思ってたけど、それは現実的じゃないと、思春期を過ぎてから気がついた。 イリアは豪雪地帯だけど、かなりの人口が住んでいる。 そんな大量の職も持たない人間が安住の地を求めて他国に行くとどうなるか? それは、つまり『難民』、あるいは『流民』と呼ばれる存在になる。 働く気力と意志があっても、いきなり押し寄せてきた難民全てに衣食住そして労働環境を提供なんかできない。 結果として、已むに已まれぬ事情で犯罪に手を染める人間も増えて元の木阿弥になる。 それに、他国に移住しようとしてもお年寄りや満足に動けない病人など、したくてもできない人がいる。 私が小さな頃に考えていた素晴らしい考えは非現実的だったのだ。 でも、どれだけ嘲笑や侮蔑を受けても、イリアに積もる雪は決して融けてくれない。 私が将来の夢を考えるようになったのは、非情な現実を受け入れてからだった。 その頃には、二人のお姉ちゃんも見習いを終えて立派な天馬騎士になって、イリアの人にお金や食料を与えていた。 その姿を見て、傭兵という職業でも誰かを幸せにできると気がついて、私もお姉ちゃんたちのような立派な天馬騎士になることを夢見た。 すでに一部隊の隊長を任されるほどになったフィオーラお姉ちゃんや、いつもすごい金額を稼いできてくれるすご腕のファリナお姉ちゃんみたいになりたかった。 天馬騎士の道を志すようになってから、相棒である天馬のヒューイ、親友であるリンと出会って、楽しい時間があっという間に流れた。 そして、穏やかな時間が流れてから少し後に、激動の時間が待っていた。 切っ掛けはリンの部族がリン以外皆殺しにされてからだった。 無口だけど優しかったリンの父親も、どこかの貴族のお姫様みたいに綺麗だったリンの母親も、すべてが殺された。 そこから、リンがリキアの貴族の血筋を引いてることが分かって、キアランという領地に行くことになった。 そこにリンの祖父がいるという話をケントさんやセインさんに聞いたから。 リンのおじいさんと出会って、リンが侯爵の孫娘になってから、私もリンの傍にいたかったし、傭兵の経験を積む上でも一石二鳥だから、そこで働いた。 でも、同盟を組んでいるはずのラウス候の襲撃を受けてからまた状況は大きく変わり、いつの間にかネルガルという世界の平和を脅かす脅威と戦うことになっていた。 戦いの最中で、どこかで傭兵をしているはずのフィオーラお姉ちゃんともファリナお姉ちゃんとも再会して、ヘクトル様にも出会った。 世界が今度こそ平和を取り戻して、平穏な日々が待っているはずだったのに……。 でも、今はそれを考えるのはやめよう。 とても疲れているから。 リンかヘクトル様かどっちかしか生き残れないような過酷な戦いのことは今は忘れよう。 エドガーさんには悪いけど、今はこの想いに浸っていたい。 リンもヘクトル様も、フィオーラお姉ちゃんもファリナお姉ちゃんもニノもいるこの夢を見ていたい。 そこではリンとヘクトル様が私に笑いかけてくれている。 仲違いしているはずのお姉ちゃんたちが手を取り合っている。 ニノと私が仲良くお話をしている。 リンが公女なんていう堅苦しい身分から開放されて草原で笑っていて。 ヘクトル様が私に好きだと言ってくれて、私も好きだとハッキリと返事ができて。 お姉ちゃんたちと一緒に立派な天馬騎士になって、部隊を率いるようになって。 ニノとも変わらない友情をずっと続いて。 ああ、なんて素敵な夢なんだろう。 男の人が苦手のはずなのに、それが克服できていてヘクトル様とも真正面から話せる。 まだ未熟なのに、お姉ちゃんたちと肩を並べて戦えるようになってる チョコレートのように甘い夢。 甘くて、甘くて、虫歯になってしまいそうなほどの楽しい夢。 ―――――――そんな夢が、不意に中断させられた―――――― 胸に熱いものを感じて、私は飛び起きた。 夢から覚めたばかりで頭はボーッとしていて、辺りを見回してもここがどこなのか分からなかった。 でも、ようやく気がつく。 ああ、これは夢の続きなんだ――。 ものすごく大きなブリキの巨体がこの世に存在するはずないし、エドガーさんの背中に揺られていたのにエドガーさんもいない。 極めつけは、『もう一人』私がいることだ。 私は私、フロリーナが二人もこの世に存在するはずがない。 ネルガルは死んだし、モルフがいるはずもない。 だから、これは怖い夢なのだと思った。 もう一人の私が紅いナイフを持っているのも、さっきから体が重くて眠くてしょうがないのも、夢の続きだから。 そう、目を閉じればヘクトル様やリンがこっちにおいでと手招きしている。 (ああ、あそこにいかなくちゃ……) 私は再び意識を深くに沈める。 楽しい夢をまた見るために。 そして私は永遠の夢路へと旅立った。 永遠に……。 永遠に…………。 永遠に………………。 果たして彼女の何がいけなかったのだろうか? 決断の遅さが招いた事態なのか、それともエドガーたちを裏切ることを一瞬でも考えた罰なのか? 答えは分からない。 だが、彼女はこの上もなく幸せな死に方をしたと言える。 痛みをほとんど感じることもなく、苦しみを味わうこともなく、幸せな夢を見ながら死んだのだから。 そう、覚めることのない、永遠の旅へと――。 ◆ ◆ ◆ エドガーが最下層から戻ってきて、再び物質転送装置の修復をしていた頃だった。 階段を昇る音が一つ、エドガーの鼓膜を振るわせ感知する。 もとより、下の階にいる人間などフロリーナただ一人。 ようやく起きたかと、機械弄りを中断して服装を整えて、紳士らしい笑みで出迎えた。 「やぁフロリーナ、目覚めはどうかな?」 「はい、大丈夫です」 寝ぼけた様子もなく、フロリーナはエドガーの問いにハッキリと答える。 「それよりも、大事な話があるんです」 「何かな? 私に話せることでよければ、何でも話して欲しい」 「じゃあそっちに行きますね」 昇って来た階段付近に留まっていたフロリーナが、無言でエドガーの傍に寄ってくる。 大事な話だから、傍で話をしたいということか。 そう思い、エドガーもフロリーナが近くに来るのを待っていた。 見れば、フロリーナの手には一本のナイフがある。 デーモンスピア、ダッシューズに続く、フロリーナの最後の支給品だとエドガーは推測していた。 眠りから覚めてみれば、傍に誰もいない状況では不安になって、支給されたナイフを護身用に持ったまま探索をしていた、というのは有り得ない可能性ではないからだ。 そして、フロリーナがあと一歩踏み込めばエドガーに触れる距離まできたところで―― フロリーナが突如、右手に持っていたナイフで襲い掛かる! しかし、エドガーもまた易々と死んだりはしない。 フロリーナの隠していた真意に最初から気づいていたからだ。 大事な話をしたいからというのも、如何にも殺すために近づきたいという意図に見えたので、初めからエドガーは身構えていただけだ。 刹那の交差の瞬間、エドガーはナイフを持っていたフロリーナの手首を掴み取り事なきを得る。 「痛ッ! 離して!」 「そういう訳にはいかないな。 少なくともこれを離してもらうまでは」 エドガーがフロリーナの手首を強引に締め付け、フロリーナは痛みに震える声を漏らしながらナイフを手から離す。 金属音を立てて、ナイフが地面に落ちた。 徒手空拳でなら、フロリーナがエドガーに勝てる勝算はもうない。 思えば、フロリーナの行動は最初からおかしかった。 いきなり近づいて話をしようというのも、口調も、何もかもがおかしいのだ。 フィガロ城で、エドガーがフロリーナとお互いの知人などの情報を教え合おうとした際にも、多大な労力が強いられた。 さらに、男が苦手なはずのフロリーナが、自分から男にわざわざ近づきたいのというのもおかしな話。 口調ですら、一つの単語を喋るのにも時間がかかっていたフロリーナとは思えないほど、ハキハキとした口調だった。 エドガーでなくても、警戒するというものだろう。 「私は君の考えていることに気がついていた。 君自身は自分のことをどう思っているか知らないが、君は隠し事が極端に苦手なようでね」 つまり、来るべき時が来たのだと、エドガーは覚悟する。 フロリーナの中の天使と悪魔の戦いは、悪魔が勝利したのだと。 だが、恐れることはない。 フロリーナの心の中の葛藤はエドガーも出会ったときから知っていたし、今のエドガーには使命に燃える強い心がある。 そう、フロリーナのような人を殺すことを選んだ少女を正しく導くのも、エドガーのなすべき役割の一つなのだ。 いつまでも問題を先送りにしているより、今ここでフロリーナの葛藤をスッパリと清算させ、正しき道へと戻す方がいい。 つまり、エドガーにとって、ある意味この状況は好都合。 「安心してくれたまえ。 君の捜しているリンもヘクトルの名前もまだ呼ばれていない。 君はまだ大丈夫、戻れるんだ。 私がここでのことを口外しなければ、君はいつだって戻れるし、もちろん私も決して誰かに密告したりしないと、エドガー・ロニ・フィガロの名にかけて約束する」 そう、誰も殺していないし誰も傷つけてない。 感情に流され一時の過ちを犯しただけだと、諭すような口調でフロリーナに語りかける。 しかし、それは無駄な説得に過ぎない。 目の前にいる少女はそもそもフロリーナではないのだから。 「離して!」 エドガーの力が緩んだ一瞬の隙をついて、フロリーナはエドガーの手を振り解き、逃げ出す。 昇ってきた階段を降り、再び最下層に行く。 (だが、逃げ場はないぞフロリーナ。 君は私と真正面から思いの丈をぶつけるしかないんだ!) 上に逃げたのならともかく、下に逃げては逃げ場がない。 一瞬で仕留める計画だったが、意外にも阻止されて狼狽するままとりあえず近くにあった階段を降りたか、エドガーはそう結論付ける。 移動スピードを高めるダッシューズも、逃げ場がないのではそもそも意味がない。 さぁ、うまくやれよエドガー。 皆を導くための、最初の一歩だ。 彼女を説得して、本当の意味での味方にする。 フロリーナから遅れること数秒、エドガーも最下層への階段を10回降りて、ついに追い詰める。 追い詰めたはずだ……そのはずだった。 しかし、目にしたのは―― 胸から大量の出血をして、息絶えたフロリーナの姿。 「何だと……馬鹿な!?」 おかしい、何もかもがおかしすぎる。 さすがのエドガーでさえも、混乱し、驚愕せざるを得ない。 何故自分自身を殺そうとした女が、少し目を離した隙間に死んでいるのか。 まさかエドガーを殺すべく行動を開始したのはいいが、いざやってみたら罪の意識に耐えかねて自殺したか? その他にも様々な可能性を考えるが答えは出ない。 実際はフロリーナの死体にはおかしな点が多々ある。 自殺したのなら、血に染まった凶器を握り締めていないといけないのに持ってないこと。 フロリーナの近くに凶器となるものはなにもない。 そう、さっきまでフロリーナが持っていたナイフでさえも。 また、エドガーから逃げて自殺を測ったにしては、あまりにも死ぬのが早い。 出血の量が数秒前に胸を刺したにしてはあまりにも多すぎる。 最後にフロリーナが階段を降りていたとき、彼女の足には移動を速くするダッシューズではなく、ヘイストのかかるミラクルシューズを履いていたこと。 しかし、エドガーもこのまま混乱したままではいない。 いずれエドガーはフロリーナの死体にある不審な点を検証して、外部犯の可能性を見出すかもしれない。 エドガー・ロニ・フィガロとはそこまで優秀な男だから。 実際、彼が狼狽していたのもほんの一秒ほどだけ。 フロリーナが死んだ事実は悲しいものの、彼は国王たる責務を思い出し、すぐに立ち直っただろう。 だが……。 だが、しかしだ……。 その一秒は……かくれみのを使っていた『暗殺者』にとって十分すぎる時間だった。 エドガーの背中から、暗殺者はそっと、音もなく心臓に刃を突き立てる。 一瞬の後、エドガーに思わず声を漏らしてしまうほどの激痛が走る。 「うぉ!?」 突如背中に襲い掛かった暗殺者の追撃を許さなかったのは、さすがエドガーといったところか。 前のめりに倒れそうになるが、気力で脚を動かし何者かからの攻撃範囲から離れる。 「何だ……一体何が!?」 激痛に顔を歪めながら振り返ったエドガーの前にいたのは、闇のような黒衣に身を包んだ赤い髪の少年……いや、青年か。 この青年は音も立てず、気配も感じさせることなくエドガーの背中を取った……。 無言のままに、おそらくはエドガーを心臓を刺して赤く染まった短刀を構えている。 青年の顔面の筋肉は一切動くことなく、そこにはどんな表情も浮かんでいない。 これと似た雰囲気を持つ男とさっき会ったばかりのエドガーの心が、激しく警鐘を鳴らす。 目の前の男は、間違いなくシャドウと同じ暗殺者。 実力も、シャドウに勝るとも劣らないプロの中のプロだろう。 だからこそ、ヤバイ……。 シャドウがエドガーの前に姿を現したのは、エドガーとシャドウが知り合いだから。 では、何故エドガーの目の前に現れた新たな暗殺者は必殺の一撃を加えた後にも姿を消さず、姿を見せているか。 暗殺者がターゲットの目の前に姿を現すのはどんな時か? ターゲットを殺すためか? 否、それは二流三流の暗殺者がやることだ。 ならば、一流の――真の暗殺者がターゲットに姿を見せるのはどんな時か? (俺は……皆を導くと決めたんだ!) 致命傷を負わされながらも、意味不明の事態が連続して起こっても、デイパックからデーモンスピアを取り出して構えるエドガーの判断力の高さは賞賛されてしかるべきだ。 心臓を深く貫かれても、己が使命を忘れない辺りはさすが国王といえよう。 「うっ……おおおおおぉぉぉぉぉ!」 心臓の動悸、息切れ、眩暈、激しい出血……様々な症状がエドガーを襲う。 最後まで諦めず、デーモンスピアを持って暗殺者にエドガーは向かう。 だが、それは悲しいまでに無意味は抵抗だった。 話を元に戻そう。 一流の暗殺者がターゲットの前に姿を現すときとはどんな時か? それはつまり、もう姿を隠す必要がないから。 暗殺者が仕事を終えたことを意味する。 ―――――つまり、エドガーの命はもう――――― 僅かばかりの時が経って、壽商会のドアを開けて二人の男女――いや、今は男の二人組が出てきた。 暗殺組織『黒い牙』における最高の暗殺者に贈られる称号『四牙』の一人、死神ジャファル。 そして、死ぬ直前にフィガロ国王エドガー・ロニ・フィガロの姿を借りたシンシア。 エドガーには誤算があった。 それはつまり、壽商会には自分とエドガー以外誰もいない、というもの。 実際は、エドガーがこの壽商会を訪れたとき、すでに先客がいたのだ。 エドガーは潜伏する場所をよく考えて選ばなければならないが、目にした敵すべて殺していくつもりのジャファルとシンシアは訪れる建物を選ぶ理由もない。 結果として、エドガーよりも遅れてこの村に到着したジャファルとシンシア二人は、エドガーたちよりも先に適当に選んだ建物である壽商会にたまたま潜入していた。 さらに、ジャファルとシンシアは身を隠すことのできる支給品『かくれみの』を使って、本来は一人用のこの隠密道具で器用に二人分の姿を隠し、エドガーの認識をやりすごしたのだ。 だが、エドガーもさるもの。 ジャファルとシンシアが身を隠してからも、一向に襲撃できる隙は見せなかった。 壽商会の探索をしていたときも、機械弄りをしているときも、いつ如何なるときも。 国王という立場上、暗殺の危険を知っているエドガーだからこその芸当だった。 また、フロリーナの安全を確保するため、常に注意を張り巡らせていたのもある。 しかし、シャドウの殺気を察知できたのはエドガーの感覚の鋭さもさることながら、シャドウが知り合いだったというのがある。 エドガーの知らないプロ中のプロの暗殺者が隠密道具を使ったとき、さしものエドガーでもその気配を捉えるのは不可能だった。 以上のような理由から、ジャファルとシンシアはまずフロリーナを殺害し、フロリーナに化けたシンシアがエドガーを不意打ち。 失敗した場合は、逃げ出してフロリーナの死体を見せ付けて驚愕させ、その瞬間にジャファルが仕留めたのだ。 寝ていて無防備な姿を晒していたフロリーナをしばらく生かしておいた理由は、利用価値を探るため。 フロリーナの実力を知っているジャファルはもし起きられても、天馬に乗ってないフロリーナを殺すのは簡単と判断し、如何に残るエドガーを殺すために使うかを考えていた。 かつて共に戦った存在でさえ、大切な人の友人でさえ、今のジャファルには誰かを殺すための材料でしかない。 そして、考えた結果は、シンシアのモシャスと併用しての、エドガーの油断を引き出す作戦。 口調や行動がおかしかったのはフロリーナがいよいよ決心したためでなく、単にシンシアがフロリーナの人間像を知らないため。 エドガーが感じたフロリーナの殺意は、シンシア本人の殺意。 皮肉にもフロリーナが脳内で繰り広げていたリンとヘクトルを生かすための葛藤は、シンシアがモシャスでフロリーナに化けた際の行動の違和感を消す迷彩にもなったのだ。 歩く二人の距離は依然として一定の距離が保たれたまま。 言葉だって交わすこともなく、無言のままに歩き続ける。 新たな戦利品、アルマーズはジャファルのデイパックの中に入り、デーモンスピア及び昭和ヒヨコッコ砲はエドガーになりすましたシンシアのデイパックに。 神将器アルマーズの威力の強大さを知っているジャファルは、これがレプリカでないことを確信すると、デーモンスピアとヒヨコッコ砲を譲る代わりにアルマーズをもらった。 使うアテはない。 ただ、これが誰かの手に渡るのだけは阻止しておきたいから。 フロリーナをシンシアが殺す瞬間を目の当たりにしても、ジャファルは眉ひとつ動かさずに見ていた。 シンシアにはフロリーナが知り合いだとも教えていない。 教える必要のない事柄だから。 ニノは悲しむだろうが、しょうがない。 男は黙々と、歩き続ける。 次なるターゲットを見つけるため。 ブリキ大王や物質転送装置のような胡散臭い道具に頼る気はない。 こと戦闘においては、今も昔も、ジャファルは極限まで鍛えられた己の暗殺の技量しか信じない。 暗殺者にとって、ターゲットの氏素性は関係ない。 名のある剣士なら、剣を抜かせなければいい。 魔道士なら、魔法を唱える前に殺せばいい。 国王だろうが、マシーナリーだろうが、やることは変わりない。 それが――暗殺。 相手の本領を発揮させることなく、仕留める者。 物質転送装置は完全に修復されることはなく。 古より伝わるブリキの巨人もまた目覚めることなく、新たな主を待つ。 【エドガー・ロニ・フィガロ@ファイナルファンタジー6 死亡】 【フロリーナ@ファイアーエムブレム 烈火の剣 死亡】 【残り40人】 【A-6 村 壽商会入口 一日目 朝】 【ジャファル@ファイアーエムブレム 烈火の剣】 [状態]:健康 [装備]:アサシンダガー@FFVI [道具] 不明支給品1~3(内一つはフロリーナの支給品で、武器ではない)アルマーズ@FE烈火の剣 基本支給品一式*2 [思考] 基本:殺し合いに乗り、ニノを優勝させる。 1:シンシアと手を組み、参加者を見つけ次第殺す。深追いをするつもりはない。 2:いずれシンシアも殺す。 3:知り合いに対して躊躇しない。 [備考]: ※名簿確認済み。 ※ニノ支援A時点から参戦 【シンシア@ドラゴンクエストIV】 [状態]:モシャスにより外見と身体能力がエドガーと同じ 肩口に浅い切り傷。 [装備]:影縫い@FFVI、ミラクルシューズ@FFIV [道具]:ドッペル君@クロノトリガー、かくれみの@LIVEALIVE、基本支給品一式*3 デーモンスピア@DQ4、昭和ヒヨコッコ砲@LIVEALIVE [思考] 基本:ユーリル(DQ4勇者)、もしくは自身の優勝を目指す。 1:ユーリル(DQ4勇者)を探し、守る。 2:ジャファルと手を組み、ユーリル(DQ4勇者)を殺しうる力を持つもの優先に殺す 3:利用価値がなくなった場合、できるだけ消耗なくジャファルを殺す。 4:ユーリル(DQ4勇者)と残り二人になった場合、自殺。 [備考]: ※名簿を確認していませんが、ユーリル(DQ4勇者)をOPで確認しています ※参戦時期は五章で主人公をかばい死亡した直後 ※モシャスの効果時間は四時間程度、どの程度離れた相手を対象に出来るかは不明。 ※次にジャファルとシンシアがどこに行くかは、後続の書き手氏に任せます ※A-6村に壽商会@LIVEALIVEがあり、ブリキ大王と物質転送装置があります。 物質転送装置の不具合はエドガーによって多少改善されましたが、それでも使用にはまだ不安が残ります。 ※A-6村の壽商会、フロリーナの死体にはダッシュ―ズが履いたまま残っています。 時系列順で読む BACK△068 ヘクトル、『空』を飛ぶNext▼066 カエルとシュウとストレイボウと 投下順で読む BACK△070 風雲フィガロ城Next▼072 曇りのち嵐のち雨のち―― 051-2 エドガー、『夜明け』を待つ(後編) フロリーナ GAME OVER エドガー 055 ドッペル ジャファル 081 奔る紫電の行方、燃える炎の宿命(さだめ) シンシア ▲
https://w.atwiki.jp/kubinasi774/pages/149.html
/ \ / 厶__ j \ / __ \ /Ⅹ } ``丶、 /| \ /\ \′ Ⅵ Χ/ } / \ \ 八 / / / / >‐‐‐→ ー―<,,___,/-‐┐ /⌒\ ←‐‐‐‐一 ''" } -[]- / { \ ``~、、,,____________________ └‐‐彳|\_} \ ー `、 // \⌒ニ=- .,,|十 十|‐ \} `、 / { \ \ \ヽ ⌒ニ=- ., \ ′ \ _\__ i i \ `丶、 \. \ { \ -- \_>..,,__>| | \ `、\ 、. `'八 \|\\ \ xぅ拆㍉ |∨⌒ヽ `、 \ `、 \ 拆ぅx ̄ ̄ Vrリ | | }_j^ j `、 \ それでは、これから語ります話の主役は変わりまして / \_[ Vり | |ハ | i 、 \. / ハ ′ 八八__r┤__| `、 / / //込 v フ / / /厂」.⊥,_j ` 一'′ 己の技術に慢心し、全てを失った自業自得から始まる物語. i{ // 介 イ /レ゙厂V ヽ 八 { / /う7} )/ / 匚,/ } , \ 乂__ __ __/ノ/ /} | | ′ /  ̄/ Y{{>-r r‐<_人 |j |`、 さぁ、ここから大事となるのは魔術ではなく、技術でございます―― / / ノ'′ __|_j \_\\__} `、 i / / 〈 /// ヽ / | 〉 | / ,,/ /_,/ / 〉‐'′ 八 / | / / ∠,,_,,/i {/7 \ / { ‐‐=ァ゙ // i i // }ト-'′ 人 / // i i { { / / / / 〕iトミ{ {t{ i i i })} / / / / / 込、 { { i i i// / / / /入_ /i=‐tく i i})}=- イ / / / / /  ̄ア { } }__i__i} } / / / / / / } }t} ̄ })} { / / イ / /} { { } } } / _,ノ | { //} } } ,// \ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; ,;;,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; ;; ,,,., ;; ;. ; .. ;; ; . ,, ...,.. . ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;,;;;;;;;;;;;;;; ; ;,,;, ;; ;; ; ;.;.,, ;; . ,..; ;.,. ....,.. .. . ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;; ; ; .; ; ., ; .;.; .; ;,,. ; ,,.. .;..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; . ; ;,, .; ,, ; ;,, , , ..,. ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; ,.;; ; ,.;; ; ....,,.,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;,; . ;; ; . .,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; , . ; . ,,..,,,...,;;;;;;;;;;;;;;;;,; ., ;.,.; . ;, ;.. ..,,. .. .;; ;; .,; ,. ,. .,,..,.,... .,. i ゙i i .i /'j ,- 、__ ヽ // i'''''‐-、` ヽ 、 `ヽ、,,,,,,,-‐''´ ヽ `ヽ、 ゙\ `ヽ 、 ゙ヽ、〉 `'''‐'''´ ,-'''''''‐-、 i ヽ、 \ ,,,-‐'''''‐- 、 .ヽ ヽ 、 ヽ 初めは、ただその日生きる金が欲しかった―― / ヽ、 \ \_ ノi .i j、 `''‐-二フ' .i、 ij ヽヽ、 // `ヽ、、___,-'/ ,==、───---,,,,,__ ,,-''''''ヽ-、___ _,,--'''''''''''< ,,,,,‐- 、 i‐-`_'''''''''''‐----‐‐''''i / j .j───'''''i /´,,,-‐'''' ゙̄ヽヽ- 、 .i 〈 ` ヽ、 i‐-,,,_ ''''''''''''''''''''''''''''''i'' ./ ./ ./ ̄ ̄ ̄ ̄i / / // 'ヽ、\ニニニニニi‐‐-ヽ ヽ ヽ  ̄i_ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄''''''''''i .i' / / ̄ ̄ ̄ ̄jj ヽ〈_ ,,,-''‐-ji. i ゙ヾヽ──j j二 >-ヽ-‐‐‐‐‐゙─、 i二二二ニフ ̄ニフヽ /二>-‐''''' ̄二二ヽ ̄ヽ二二二'''''<二二-===========-i二二二二i,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,i,, i二<-‐‐''''''''´ ,,,-'''..-‐‐i'´,,-''''´ ̄ ̄ ̄ ヽi ̄‐、 ` ヽ 、`''''ヽ、i二j、____,,,,,,,,,,j-、-‐‐‐‐‐‐i‐------------i=ニニi─ゝ---‐<ニii-‐‐‐-‐゙゙i´ i ̄ ̄ ̄ ̄ ̄二二i‐-ヽ∠-‐‐i,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,-‐‐''ニニニニニニニi‐-------‐‐.i‐''‐--------------i二ニ二''ヽ‐--‐'''''j二二二二二---‐i ヽij二二i____,,,,,,,,,,j二二二二二i_____,,j‐-,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,j_,,,,, |\, ,/| _ / | \, ,/ | _ ,.-'_ ゙゙ー-...,,,,, |''‐-,, | | / ̄  ̄ ;=));フi /,,='‐;;;;''-、, /| | ''‐-,, \, レ' ,,-'゙゙ ,)'/ レ, l;;゙゙;;;;;''''/;;ヽ. /. | | '-/ ,ノ;;;/ / ,,,..'.ゞ-'`,;;;;;;;,-‐,/_/ .| | ,,....- ''^ヽ l―--,-'_ム,,,,,--';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ―--....,, , | ''‐-,, ̄ \ | '- ;;;;;;;;;; ;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;"`l /| ''‐-, 殺せば金貨一枚\ \ |  ̄`y;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ__ / | ,,-''^'‐,, \ ,,....-― ゙|. . | /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.‐ュ,,;;;;;;;;;;;;;`-'--,i';_., \ 気付かず殺せば十枚. | ̄ | ゙ー --.....,,,,,,__,.,!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/--.,,,,"‐―,--―'-,,_彡 . | |. r';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/"""‐-..,,,| /|\ .| | /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 'i /l | .\ / | .\|_,,,.....-― ゙ / ̄ヽ、;;;;;;;;;;;;;;;;'i / | | \ /. | 死んだことさえ誰にも悟らせなければ百枚 ,, -'^''--,,,, /;;;;;;;;;;;;;/"l ̄ ̄|' / . | | ヽ/ ノ ,, - '' /;;;;;;;;;;;;/ ̄''' |;;;;;;;;;;| | \ | / , -'' /;;;;;; ;;;_-"" |;;;;;;;;;;|7! / \ | / |'''ー- ,,,, l;;;;;;; r"" ヽ;;;;;;;'i, .|. / \.,|/ | '''ー|;;;;;;;|'''‐‐-- ....,,,, 入;;;;;;'i,|/ | . ,|;;;;;;;| ''''‐- ' ヽ;;;;;;'i,.. | ,l;;;;;;l'. | ヽ;;;;ヽ '-,, r';;; || | / ヽlllヽ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ''ー-...,,/;;;; || | / ヽlll) | 二 | / /^'l'-'. '-.......,,,,,v-‐‐ー--!ム,,,,,,, , | | / l;;;ノ / /| \\ /f゙ヘt、`-、_ ヽ、;;;、\ \〉 /f~´ i゙;;'、';;t、`'‐ 、 ` ー ゝ \(z、 ``ツr;;';;ゞz;;`'‐ 、 __,. ---───‐‐‐┐ `'‐、ゞ、_ '´ `゙゙ ゞネ'゙‐ヾミー 、_ \´、`゙`ゞヾミ''ゞ~^`ji | `゙'-、ゞ 、 _,ノ;// `-- ─ー‐‐─‐--=! `゙''-、ゞrt.;.ォ// _ ゙、/ /{ 単純な話だ、百枚欲しい / 代 , 《ミ 、 ハ /| ヽ i; } 誰でも思いつくことだ , ‐'゙ / ソ _,.. ‐´fじ''´ ノ_,. -''´ それを短時間に何回もできればもっと儲かる ..´ __ ノ′ ´ ̄ ̄ ̄ /\ //! \///////////////\/////////////////////////////////\ !////////////////// ∥ i ///≧s//、/ト.////////≧s。.////////./才' ´ ̄ ̄ ̄ ̄` = _///\ !//////////////////、 ∥/i! //,/ `ヾミ ..、 ` = _//////≧s。.´ / />=ミ .、////////////////∧ . .∥/i! /// ヾi ` = _  ̄ ==ー`=-- _ } / トヾ、/////才_.z斗z_/∧ . . ∥/i!//// . . ` _  ̄ / ; ' !/レイ´//∧. .∥/;i!i ;/.i! . ~ _ i ' ∥///∧///リ i从 ;i r .、 . . ヽ / /////,ム/ノ . i マ .、 / . ' ///////ム 寸c、 ∥ ..イ////////ム \ .、.∥ !、/////////\ ` ' / ! . だが、それを行い続けるのは難しい話だ/`//////////,\ ヾ! Ⅶ///`//、////////ヽ ∨///////`/、//////.ヘ . しかしその者は殺す事に直結する異能とも言うべき能力があった//////////`/、///// .。 /////////////ハ .、///ム !//////////////ハ ヽ//ム !/////////////// i \ム i!/////////////// i ヾ . |、/////////ト.////リ ヾ. .i∧////////i! \//i キ ヘ///////キ `∥ i ! \///// .、 ; . /).///l ,っ///〈´/‐7 / くヽヽ、 丶 ヽ/っ /、ヽ、 ヽ 丶 l ´ l/ / ヽ ', ', ', ll | // / l ', l l l l それは感覚に直結する洞察能力、名を【鷹の目】 /〃 / / 〉l | | } ! i 〃、 / / ! | | | l /〃ミ / / l | | }| 敵意あるモノを赤く味方するモノを青く、目的物を金色の発光体として捉え / //ミ / / / / .}/ //彡ミミ ' / ./ ./ ..レ 遮蔽物を超えて尚見続ける探索の頂 ___ノ ∟ミミ、 / ./ / / iニ´三彡 `‐、 、 ,/ / / \ 〉 ___ `‐、 .ノ ノ 足跡や指紋、拭き取られた血痕…… 見えないものは無かった )、 l「ニ、ヽ、 `‐、 /l '‐- 、 ` ´ ` '` ‐ ``、 、 / //巛彡ミ\ \ ニ,-、_ \` ‐、 //〃《 .i X´ `‐、‐- 、__ 、、〉` ,‐ 、_ / /レフ 〉 ヽ ,===´- / / ` ‐、〈 >ヾ、 /ミ`.i / ´' ,イ ゝ ) 〕 l ./ ` <´´ 彡、 ノ /ヽ___ __, -/ 〉〈─´ / ` ‐、,-/ /、`‐-、__, - l|/´ / _ノ ./ 、_`‐- -- _, -‐´ /´ 7、_ ` ‐- -‐´_, -/ レ'| フ‐- -‐ ´ / | ||ヽl、ヽ、 l´ `' l .l l !ヽ) `' リ `| i! / | | /| ,| | / || i! //. / .| | / | ,| |/ || i! ;/''´ ヾ ..| | | ,| | || f/ , -==-ミ} | | /| ,| | | 目の眩む朝の眩しさも、月光さえ無き夜の闇も無関係| / /γ⌒ヽ} | | / | ,| | || 〈 / /, - 、/ ....| | | ,| | || / ,f‐- 、/ ...| |ヽ .| ,| | | 全てが「道」、端から端まで死を届ける| 〃 / | | .i! .| ,| | || /{′ . l | | i! | ,| |. / || {il! / ....| | i! .| ,| | /{ // , || ヾミ=- '' | | i! .| ,| | ト、_/ ゝ'´ {_/__, | 今日の為、明日の為、ただ生きる為に――| イ | | ∨ .. | | } ,/ ||. / | | |、 ∨ .! ! }r==ミ、 / || / , | | |、ゝ .∨|! ./三三ハ ,/ .||. /./ | / | | ヽゝ ヽ|_|/三三三| { .|| /l/ , |// [] [] | | ヽゝ i!,゙三三三| ヽ || ト/ .| / |三三三三| | | ヽゝ i!,三三三 i! /` |三| [] []| 歯車なら良かった、ただの現象なら良かった――| | { |三| | | ヽi!゙三三三/ ー{ .|三| || / {_, .|三| | | i!三三三/. |三三三三'| .|| / i|! / |三三三三| | | i!三三 / |三| |三| .|| ト _} (_/ | | i!,三三/_, |三| |三| .|| |三} { | |\ /゙三 / / .|三| |三| .|| ト '⌒ヽ , {`_ [] [] l三l | | ` <三 / / || | > V ヽ{`三>ミ |三三!.| | | ,| | ̄ || | >`\、ililili| .| | | ,| | || | | |ililili| .| | | ,| | || | | |ililili| .| | | ,| | | f,} イ { r.、 パヽ ノ ヽノ } .} `´ ヽ / ‘. .{__ _ =ミ、 _ノ ヽ_, ィ_ `ヽ _r- 、 / ̄ ̄`ヽ _ __ イ´ _ \ ヾ' { ./ / __> . .`ー' ̄< ヽ ヽ _⊥ __ >^\ / / ア . . . . . . . . . . . . . . .`ァヽ `ーイ/ ̄`ヽ r-、 __r、 , < . . . . ヽ \ 7 / / . . . . . . . . . . . . . . . . . ハ ヽ く ‘.__ 厂Yヒァ-- 、 とア\ ヽ___ x ./ . . . . . . . . . .}. ヽ/ / / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . !ー-、ハ V .ヽ/ . . . . . . . . ヽ ⌒ヽ Y ヽ!ハ . . . . . . . ./ _/ ヽ Ⅵ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ハ . . . . .} /ヽ V/ . . . . . . . . . . . . . .ヽ }'´¨`ヽ ヽ ヘ . . . ,、イ>< V く ハヽ . . . . . . . . . . . . . . . . / . . . ./ .} V V . . . . . . . . . . . . . .ハ /! . . . . ハ ^⌒> ´ ̄ ̄へ ヽ } }' \ . . . . . . . . . . ./V /≠^ー' V V . . . . . . . . . . . . . . .Y仁!>==イ_> ´ ト-、 . . . . . . . ∧ `<ニヽ ヽ . . . . . ./イ / > ´^ー=- ヽ . . . . . . . . . } . . ハ!¨¨¨ヽ { / . . / . . . . . . ./ . }ヽ ` ̄^゙V^'^ヽイ > ´ } . . . . . . . . ハイ r^ヘ {ー- } / . . /ヽ_ . . . . . /! . ハ >へ . . hイ ././ヽ_L= _|___! _ノ . . />-=^ ̄ゝ._} . .ハ >< }} ヽ| /./ \ ヽ }_ / . . . ./⌒ヾx ヾヘ .!ヽ ><{ り .L======_/ ⌒ ゙Y (_ ^¨).イ ヾ=====”.ヽ_} ;>< || V .}! , ー 、 ∧_ア´`! i | i }リ |} ヽ_ハ ./ |`ーイ | ヽ /! .ト--イ {../ .|}ー--イ 〈`ー-~---く | | | \ / ヽ x===く ./ | , .''⌒'' 、 ,/ `ヽ、 / ゝ ,' ', ! ', , ''⌒'' ! .! ',,' } .{ .,' _、 _ -‐、.', 毒 .ハ,' / "''ゝ_< ハ‐-、 名声と驕りという美酒に溺れることも無かったろうに―― ノ / ハミミ`ヽ _ -‐´ ', { .、 ハミミミミ', >´ ゝ ', { \ / \ ミ!', _/ \ \ ',ハハヽ 、_, ´ .. ! \!', 只管にただ只管に「人」であったその者の名は【アルタイル・イブン・ラ・アハド】 /∠, .\ \ ハ.∨\ ! / ! ', γ´ \ . \ \ .|', ∨ '., ! / \| ハ ハ , -‐- _\ \ `ヽ、', ! .∨ .', ! / /ト、 ハ 飛翔せし・名無しの者 ( "''\ \ `.| `∨' , .! / / ミ.| ! ハ Al-Taa-irr・ibn La-Ahad .y `l \ .| `ヽ! ./γミミミミ.! ! ハ ハ i! .\└‐‐--、__リ.∥ハミミミミ/ .!. ハ ハ .} \ \ /| ハミ/ |\ .ハ .ハ .l. \ \ゝ-‐´ 、-‐"/∧ .ハ / l. \ \', ///////∧ ',、 ,/ .} 〃== \〃、ヽ/Ⅵ//////∧ ',ヽ / ._ -‐''_=-¬-、.ト、二====〃〃イ \ / 、 ! o ! ̄!///ハ ハミ', } ./ γ´ ==、 `ヽ  ̄"''‐-、___ __ -‐- __ -´ ハ`ヽ丶/////ハ. ハミミ', ハ,' ./ 〃 ! }  ̄ ..∧ { ∧//乃 イ`ヽハ .}ミミ', .{ ハ ! `ヽ、 /∧', } ∧∧ ∨///ハ、 }ミミ', l /,-‐' ̄"ハ / `l // ハ ', } ∧∧ ∨ γ、 {ミミミ', .ハ ゝ‐--〃/ ___`ゝ‐--、l二l=// ハ ',=l二l. ゝ、 ∨ / ヽ `! {ミミミ{ `‐-、 l \`¬==く  ̄ ̄ ̄ ̄ ハ.. |∧_∨ヽ ハ ', .}ミミハ ', ', `‐-=、‐‐´ ∧ ハ. ./''.|_ '、 ∨ / ! |ミミ.ハ /`\`ヽ"'‐-、_リ { ∨ ハ ./ `"ハ ∨-´. |ミミミミ} ! ゞ } ', ∨ / / .∧ .∨∨ |ミミミミ.} { `ヽ、 } ∧ ∨ / ∨ ∧ ∨ |ミミミミミ} .} `ヽ、 }┘ハ_、-∨ _、'' ハ \! | ミミミミミ} ,' `ヽ、___} !_、'' ハ .|ミミミミミミ} { ハ |ミミミミミミ.};;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; ,;;,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; ;; ,,,., ;; ;. ; .. ;; ; . ,, ...,.. . ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;,;;;;;;;;;;;;;; ; ;,,;, ;; ;; ; ;.;.,, ;; . ,..; ;.,. ....,.. .. . ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;; ; ; .; ; ., ; .;.; .; ;,,. ; ,,.. .;..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; . ; ;,, .; ,, ; ;,, , , ..,. ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; ,.;; ; ,.;; ; ....,,.,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;,; . ;; ; . .,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; , . ; . ,,..,,,...,;;;;;;;;;;;;;;;;,; ., ;.,.; . ;, ;.. ..,,. .. .;; ;; .,; ,. ,. .,,..,.,... .,. │|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ _」L...│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ ,コ lニn│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││.〈 l ワ/))│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥|│ ``'´ ´│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ _」L...│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ ,コ lニn│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││.〈 l ワ/))│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥|│ ``'´ ´│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ _」L...│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥|│ ,コ lニn│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││.〈 l ワ/))│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ ``'´ ´│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ _」L...│|∥││┃┃∥┃│┃∥││ ,コ lニn│| ││┃∥┃│┃∥││.〈 l ワ/))| `巛 . │┃∥│││∥││ ``'´ ´│| / / │││ ││∥││ _」L...│ | | __ │││ ,コ lニn│ ,{三} ,r''7_ ├┬ '' ││.〈 l ワ/))│ ミミミJ‐''" / ヽ,| |. ││ ``'´ ´│ ミ'粗) L「l/ト、 __ノ __ | /7│ ヽ==r┴‐ヘ `Y'" 、\ │ 〈〈│ `ーヽ \_/ `′ │ .〉〉│| \\ │││ 〈〈│|│ ヽ,彡 ││││││ .〉〉||∥┃│ ∥┃│││││ 〈〈│|∥┃│││∥┃││∥││ V│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ o│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥││ o│|∥┃│┃┃∥┃│┃∥│| oー .._,;ゝ..,,、 `'-、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.l- i、、゙ゝ、,、ヽ、 .i〉;;;;;;;;;;;;;;;;;;/゛ '" .,..-/!彡'".りシ',゙_ _..- ゙'''-、`'-、 `'-_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ`'ミ〟 `'''.lシ、 .l.;;;;;,i∴;;.″ ,- , ;;ソ」彡" .,ノ".`--│ _..-'";;;;;;; `'''''≒ .`'-、;;;;;;;i..、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ゙〈ヽ、 .゙'、"x. l;;;;;|. ..!./ / .,rシ",il'" 亠 ._iir㍉;;;;;;;;;;;;;;;...,,、 `''-_ヽ`'-、;;;;;;;;;.;_;;;;;ヽ, ゙'ヘ . l;;;丶;;;;} ` .,;;ソ゛ ´ /゙;;;;;;;; /ー 二゙゙ヽ ,,、 `'!‐ `'-,;;;{. `'-、;゙!、 .l-'、.l.;;;;;;;;;.! .,il″ _,, -'";;;;;;;;;;;`¬..,,..........フ;;;;;;;;`''‐ ,,、 ,゙li/、 `'、.l, .`'/'./ ;;;;;l゙゙ ./ , r二-''''" ̄ ̄´゙''y;;;;;^゙゙゙゙゙゙'''''".'''''.'''ヽ-..;,゙ニ_ `゙゙''''>x, ゙ ll、 .!、/.l;;;,! i' ''" `-¬''' `'''`-ヽ,, |、`''ニi几 ″|;;'!..,......xi, `'''ミ;;x、 ´ .` l、 l、;.lz'ア .,i;;|lrl!!!!¨'″ ,,,  ̄ ..,,u..-..、 `''スッ、 y ..、 !li `l/ l/ ..il′ ,,il'"´ ニニ;;;;ュix..,,,,,_. .`'s、 ゙''く、 |;,_} .ゝ .″,l′.,, .,.″ .= .r!″ '.ly . `''-゙二;;;;`゙''''、 ゙" ″ iリ.,〃 , .` j,i′ l! 讃えていた者は言った「アルタイルは死んだよ」と___,________i;;;;;;;;;;;;"― ..,_ l;;リ" i、 .,ij" _,/.l_、 ,,irー .∧ ._.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.xッ----`-=- .. i|'" -`--ミヽ、..,,ノ;フ'"゙'-ぃ〈 ̄.コ;;-、___,.. -";;;;;~゙ィ.,ン;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,..一'''''''ー、,;;;;;;;;`'ー- ..,,、 ゛ `'.lミ,゙゛ \;;ヽ \ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 敬っていた者は言った「アルタイルは失敗した」と;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ `くv-¬'''"゙゙´ !.i''~lュi,,、 ヽ,,,,゙' \ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i‐′ !;ヽ `'L ゙".! ! `ぃix,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ _,i〟 _..〟 |;;;;;;;゙''-、、.リi !> ゙'i lヽ.;;;;;;;;;;;;;;./ ,..r/「″ ,,rj″ Y''フ'´ .▽ ,i";;;;;;;;;;;;;;.l'!ミiv 、 ,.l|x, ヘ.l.ヽ 転落して死んだよと;;;;;./ .,r彡'" '!レ'" .// .,r、 f'"`''./ ;;;;;;;;\.゙'-、''-..,,,};;;;;ヽ l"l,./ ´ 、 ,ノ;/ ¨゛ .,,〟 .ヽ;;;;;;;;.l゙'!)i、`\;;;/'''''-\, ∨ ,,、 ,,〃 .,..;;ニi / ´ ヽ;;;;;;;゙;;、 ` ゙'ミ、 ゙゙'ニ;;、 ,i彡 /│ ″.,〃 .,i;; .,-、 .i;;;;;i .l.;;;;;|..゙'|l、 ゙'li、 ゙'ミ ,iク゛ l";!I ., ―--グ .n /゛ l/ .゙‐'" .l;;;;;.l .゙'f、 ゙.lx ゙' .,l .,ング ,. / ;;;;゙‐',,、;;;;.;i′ !┤ .lL .` l;;;;;.l ゙|''、 . lヽ .,l| ../ ;/ 〃 ./ ;;;;;;;;r'" !" .l゙l |;;| ` ゙lュ !;;;;;.! ゙'i;ヽ i、 ゛ , !} ,i";;;;l゙ ,iリ ,/;;_ン-/ |;l l´;;;.l l;ヽ 〟l;;;;;;.l .`┤ .゙┘ |\, ,/| _ / | \, ,/ | _ ,.-'_ ゙゙ー-...,,,,, |''‐-,, | | / ̄  ̄ ;=));フi /,,='‐;;;;''-、, /| | ''‐-,, \, レ' ,,-'゙゙ ,)'/ レ, l;;゙゙;;;;;''''/;;ヽ. /. | | '-/ ,ノ;;;/ / ,,,..'.ゞ-'`,;;;;;;;,-‐,/_/ .| | ,,....- ''^ヽ l―--,-'_ム,,,,,--';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ―--....,, , | ''‐-,, ̄ \ | '- ;;;;;;;;;; ;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;"`l /| ''‐-, 違うのだと否定する声は無い\ \ |  ̄`y;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ__ / | ,,-''^'‐,, \ ,,....-― ゙|. . | /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.‐ュ,,;;;;;;;;;;;;;`-'--,i';_., \. | ̄ | ゙ー --.....,,,,,,__,.,!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/--.,,,,"‐―,--―'-,,_彡 落とされたのだと言う声もない. | |. r';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/"""‐-..,,,| /|\ .| | /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 'i /l | .\ / | .\|_,,,.....-― ゙ / ̄ヽ、;;;;;;;;;;;;;;;;'i / | | \ /. | ,, -'^''--,,,, /;;;;;;;;;;;;;/"l ̄ ̄|' / . | | ヽ/ ノ ,, - '' /;;;;;;;;;;;;/ ̄''' |;;;;;;;;;;| | \ | / 謀られたのだと、羽を #25445;がれた鷹は闇夜に音無くないた , -'' /;;;;;; ;;;_-"" |;;;;;;;;;;|7! / \ | / |'''ー- ,,,, l;;;;;;; r"" ヽ;;;;;;;'i, .|. / \.,|/ | '''ー|;;;;;;;|'''‐‐-- ....,,,, 入;;;;;;'i,|/ | . ,|;;;;;;;| ''''‐- ' ヽ;;;;;;'i,.. | ,l;;;;;;l'. | ヽ;;;;ヽ '-,, r';;; || | / ヽlllヽ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ''ー-...,,/;;;; || | / ヽlll) | 二 | / /^'l'-'. '-.......,,,,,v-‐‐ー--!ム,,,,,,, , | | / l;;;ノ / /| ,.、 __,ィ;;;} _.ィ;;;;;;;>' ,=-、/;;;;;;;;;/ rヘ. ズル… _,.ィ=ミ __,.、ィ . . . . .\;;;y'ー--<;;;{`′ / . .、;ヽ . .\____,.ィヽ. . . . !>. < . ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;」 /、. ./^ヾ .ヽ/. . . . . . . . . . /. . . . ヽ . . . |'¨¨¨¨¨¨´ ,.=-ヘ_/ `ヽゝ-、 .` .ーく .| . . . . . . .! / 足は潰れた、腕は在らぬ方向に f__∠!/ ー=`′, ヽ . . . . i ! . . . .// `¨′ ∠ィ .' i } . . . .| . ,ィく ズル… 顎は砕かれた、背骨は破片に変わり肉を刺している ヾ!!i 彡人 . ./〃. . . >x-. ~ .く`1 ^ヽ!ヽ^  ̄ ̄`<ミ===--'´ ______───── _ | | o - -" `ヽ、  ̄` 、 | | \ ´ / ヽ | | \ ,,,,,,,, o / / ヽ | | (; ; ; ; ヾ-r / | | | ソ; ; ; ; ; ; ; } | l . | | ゞイ"ヾ, ; ,ソ i i | | !l(; ; ノr-´^~ l / /| | |∫ ヽ / / | | 動く個所も徐々に止まる |∫ \ / _; ; ⌒ゝソ; | 美酒 人ゞ ζ `ー _-‐ ' (; ; ; ; ; ; ; ; ; ) | ああ、ああ、差し出された 毒 なぞ口にしてはならなかったのだ /三ヽζ ζ  ̄ ̄ __ ⊂ ̄ ̄⊃;;;;;;;;;;/; | ノミミミミミミ` ー  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄| | ´ /; ノ | ゝ; ヽ-‐―r;;, | | | | ,_____冫; ; ; ; ; ; ; ;\ | | | | `ヽ; ; ;;; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ノ | | | | 〈; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ) | | | | .|!!,,__); ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ノ | | | | / / ∧ ./ / ', / / .};\ / __/ ;;;; ;` / . -=≦ j;;;;;{ ./ / ; ;;;ノ / / . イ } /;; ; / } ,′ {;;; / ./ 、-=て/ `¨ / };;; ;;/ 全て必然というなら / 〈∨; ` .ノ、;,′ イ ;; ;〉{、;;;;、 / ,′ 奇跡も起こることはない―― / __ゞ ;; ;;;;;;*;} { / / }´ ̄;;`r-., __ ヽ / ./ ,′; { / .| .,′ ヽ } ′ / ,′ / | ノ、_{ } .,′ /|;; ′ { ′ .! 〉;;;;l | ′ /ノ|;;_ノ '. .{ .| .{ ゝ ' ´ ハ .| 八 ∨ ‘;;;;;! .∧ } 人;; | ヽ ノ `¨ / / ∧ ./ / ', / / .};\ / / / / / / / ._,n_00 _ ∩ ./ / .└l n | 辷l /7 ∪ .∧ / .U U くノ ○ / ', / / .};\ ./ / ;;;; ;` ./ ,' j;;;;;{ /´  ̄ `ヽ / ; ;;;ノ ‘ .. -=、 } / / / \! { ; / __ '. ; .| / r‐,、 `ヽ ∨ { / r‐ 、{;;; \ ー=ニハ } |  ̄;;`;ヽ 八 \. \  ̄ヽノ 弋__; イ⌒ヽヽ \ \-、 | / _ , ∧∨ _} } l ! / / '. {;;ヽ!て;; ;| | | | / { ‘, .| Y; ! ..ノノ一' / | ∨ ノ ノ>‘´ ,′ .〉、 >’ ,′ .,'ー―‐=≦ 「そうさ!必然だよ!」 ,′ .,′ ,′ .,′ ,′ .,′ ,′ .,′ / ,′ / ,′ / ,′ / .,′ / ,′ / ,′ ヾ=〈.}i | i'< /.、 `i´ / ヽ `' 〈} .} } {./ } } .}i i i // ヽ,.i / ヽ >.} .}.}i .} 〉 }, }i }i } i └┐ー--=〈==--ー┤´ ./ ノ.}i ノム >====< .) }i }i, .∨', i / }ヽ .∧ / /./ ノヾ /////////\〕乂}i, ∨ヽ └ //`'<、 ∥' ノ ノ/ /∨´ ./////ミ/////∨}iゝ、}i.\ヽ \.}イ ヽ.//イノ'',ィ┘ .,////´ .ヽ////∨i }iゝ。\、、`''<}ニ=ー'''´/イ,ィ'フ ,///=- ィ==,////i/i ≧s。ゝミ===}‐{===彡イゞ''''´ i//i弐リ .〈匁////マ `"}ィ''''ゝ=====ィ`ヽ{"´ ///i{ 〈 .i///.∧ }日 .ノ////}i、.ー‐' , イノノノノノ}i >==、,ィゝ== ,ィ=.、 .i.{///ヾヾ}ミ彡=イノノノノノ} { イ/ { 彡イ ゝ',ヾ).} 「キミに救われた者だ、今度は此方が救う番だ!」 .i 、///ヾヾi}{=イノノノノノイ__ 丿 (ゝノ 彡==>〉 乂 ,ィ{ ノノノノi )) ノノノノ人i) /\ 从ノ ) .}イヾ}==〈 { ヽ) ///ノノゞ=イ.ゞ' 乂ゝ===、イ/ \ .∨ __`〈=======〉´ >ノ i {( { i}乂、\ニ/`"フノ人i ',ヽイニニ、 マ マ // ノ、 、ヾ.i| ノ ''´、,,_彡ノ.i i∥ニニニ, 〕ニニニ, { { / / `"''' i} ソ./ /ー=ニイi .i i}ニニニニ.、───ゝ ヽヽ_{ .{ .ヽイ,i /ゝイ {乂乂 _,,i}ニイ=、イミi}┬┬ イ。,,.ヽヽ ヽ∨/ _/≧s彡./ニi {ニニ、iニ}.} .{i } ∧ゝゝ,_イ`''i<_ィ.、__,,,。≧´.///i /=.、', .ヾニニノ} Y Y ノ ヽフ } ミY彡' {///, ム乂i}ニニ,..ヾノ| |<ニ} / .ノ ノ マYマ}__,, ヽ//).{ニニニ>ノi}⊂.| |)ノニ' イ / ./>''´\、ゞ,, イ`''<,,__ ヾ' 乂ニi ./ニニ∨}__.|ニイ_ _ ./ / /ヽ //'/ i"´ i..、 ヽ,、 {ニゝ}i, ヾ,,{ニ/ニニニニ<ゝノ==' ./ / ./ ノ/イ i i i `<}==、'''ゝ, }イ>''´====イ⊂}==、ノ / ∥ノ/ i .i .i .i i `<ヾ,、=', (彡===≦二><´´ ./ ∥{イ .,' i i i .i ',\、,,_, <二二二二ゝイ==.' / .∥'/ .,' .i .i .i i .', \', .<ニニニニニ<⊂i}==.、ノ ノ / ./ .i i i i ', 〉〉 `"""| |""´ ̄´ |iiiii7 _、‐''゛ |iii7 /_ |i7--======ミ=- _ |'/ / ̄`~'''< ミh、` 、 | {/ ̄ ̄ `'''<ミh、 丶、 | { '<)h、 \ { _,,....._ `寸}h、 \ ', ,イ'⌒`寸i; 寸}h、 \ . / ' rぅ i} 寸}h、 ヽ ‘, . { 乂 _ノ / }ニ{\ . ‘, ヾ辷zア" 八人 } ??? ‘, ゙. ' ‘, \ ゙.、 ' ‘, `¨¨ ‘, `''' ... `''' .. , ====Y=== 、 / `ヽ / \ / / ヽ / / / ニ ニ \ ヽ ヽ .// / / /\ ヽ ヽ ヽ ' , ;'/ / / / `ヽ` ` ` ! .!' / // ヽ '; i ', { /'-‐、 , -―‐'、 '; '; } | /_三ミ 彡三'、 '; '; | { {代 sア イ弋s ア } ヽ | /ノ ', ` ´ ` ´ '; | ヾ 「金の為だろうが名の為だろうが」 // ; '; ', .ノ } } ヽ // l ';'、 ヽ } j '、 「私が生きてる代わりに誰かが死んでくれた、そんなものさ」 //; ;' ', ヽ ー‐一' イ' / / } i ,'/ィ { ヽ ヽ \  ̄ ./ /ノ / / |、 「では、生きられる身体にしなければ」 {/.{ | \ヽ ヽー'.´. -/ / }', {' .| '; ヽ ヽトヽイ .r// ノ / / /ソ 「礼なら結構、名を呼びたければそうだなこう呼んでくれ―― 」 {\' ヽ ヽ '; |.// / / / ヽ} ゝ-ヽ \ ヽ}/_,.ィ / / / >.、 ./!. \ノ }ヽ} } ./ / 彡、 ヽ  ̄/ .ヽ、 .//! / / / ノ ヽノ ノ .r // / ノ ノ ./ ヽ\ ヽ .// . ./ / 彡 /' ヽ ヾ/ ---'ー' ;-‐' / \ ..', .// . ./ // /´|| ./{ /-==- 、..._\、 ヽイ.}. ヽ.\ .ヽ, -' \ ,. =ニイ ,' /{ {ヽ.||-ヽ {/ \ /  ̄`/>、 ';/.| ヽ .\/ , ==ヽ / ./ .,{ {.ヽ ヽ }||_/.\.☆ `ー/' \-‐ニノヽ } .| . . ', /./ / ___ .';', f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ | 【万能の天才】と―― | 乂_________ノ /) /; |  ̄ | | V ,.-┐ 次に目覚めたアルタイルが聞いたのは _,. '´ r'´ {_/l ! 硬いもの通しが擦れる音、硬い物が床をたたく音 ! ! `´ /〉 ┌'´ 「 冷たい拳が開閉する音 └'´| | 凵 ○ o ゚ ∧ r‐‐-、 / 〉 `ー一'./ / / / / / 〈_/ ,, ─ァ / / / / >──< __/ / ,イ ,ィニニニニY_ノi┐/ / /ニ/⌒'|Θ|/゙く | |ニ/ ≠''| |/// ┌────┴‐┴====== ,|-く_ l┌──ii─ァ''⌒''<─ァ / \ \ _... -‐{.{─</// ヽヽ"''< __.\‘, / ',', ⌒ソ { i ハ ', ,ィ/ `ヽヾ、 _ム 、__ ム ',', ̄ ,{--'-、 ノ ̄}} / \ /'"¨ ヽ ヽ─, <>´∧ 、 `¨l¨´,zzハ { ∨ /ヽ ',, <>¨''‐{ } {i{i{iゝ、イ'イ/ー┤ヽ. ', { ',ヽ `¨ ‘,>´ `¨7 ノ`ヽ{}ih。、イi}{|,/ |、 ', ,,_,,} ゝ、 ヽ ヽ ', ', `ヾ≧≦ 〉. { Yイイ´⌒ヾ <>、ヽ \ ', ∧ `ヾ_ゾ. / { / ',ノ. <>. ',、,, -=' ゝ. \ ,イ ∧ , イ ‘, <>. ',i/oヾY \_>、 イ┬- / | __ ', <> {'o _ノ ヾ /./ |\  ̄´ /〉 . {ィ Y. <> 人¨_イノ_}ニ/ ̄ ̄\ \/ /`¨´ イ ,ノ'""i ̄`ヽ. <> ハ_〉''"ニニニニ=- ≧s。/ゝ‐''"-=/ }. ソ < -=ニニニニニニニニニ≠ニニ', / ,' , ィく -=ニニニニニニニニニニ≠ニゝノ. ,ニ} / /`ヽ -=ニニニニニニニニニ≠.ニニ| lニ=- / ./ Ⅵ -=ニニニニニニニニ≠ニリ__ マニニ=- _. / /. /⌒、___⌒-=ニニニニニニニ≠乂r─┤ニニ=ノ´ 彡 /\zzx___ィ , イ ', `´ヾ-=ニニハハ''゙// ̄ ̄|  ̄ ̄ ミ ,'___ イ〉 イ`¨¨¨ ∨、,,, ,,,. 〉 o oハ ,, --‐‐ヘヘ. 人. /´ ̄ヾ `´¨¨¨¨ ゝ'' ゝ_______/wハ{--- イノ }. / ` '{ } `¨‐''" ', ヽゝイ‘,.}. 〈_ノ ',. / ゝ、 ', ', i! ヽ ゝア `ヽ. ', | / ヽ. ', ,' / ‘,zzzzx /zzzzzx} ト〈/¨ヾ /´⌒ヾ=} / ヾ o⌒o、 / ̄ ̄ヽ/ ゙ Yzzzzzzzi|〉 Yo ̄´o_ 〉 {zzzzzzァ" _ ,. -< `ヽ、 __ィ `ヽ マ .、 ア `ヽ >- 、 Vム /ヽ ァ'゛ i{/∧ ]! / i{/ ∧ ]!へ,/ i{///! }ム \ i{///} 甲冑かと脱ごうとしたアルタイルに感じたのは ,. -マム `丶 、z z z i}zィ/ _{、 マム、 ≧r//// ,__ 鉄越しだというのに皮膚の様に感触が分かり 〈 . . }〉、\ ,////≧r// `ヽ、 _,ィ} 、 . ヽ、\\ i{// . // ヽ つるりと撫でた顔さえも撫でなければそこに甲冑があると分からなかった _ア゛i{ \ >x.,__≧fi{/ . // / ̄ `丶 、 /i{ ヾ、 \ / . . . // / /≧s。., 丶、 ァ゛ ∧、 ` . . . . . . . . . . ./ // / / ./ / ≧s.,_〉 / .ヾ\ \____ / . .{ i / / / / /_} V 'アvxy ヽ//ー . . . .{ ! / / / / /-_}--∨ / V``゙`ヽvx; o゚ ゚Oo。 . { V / / / /-_-}---∨ i} `丶}!-_-_-_}ニy Ov丶``ニニニ゚゛Oo。{ V/ / / /_-_-.}__∨ iト 、 }!-_-_-_}ニニO。、ニニニニニニ}!ニヽ、\ / /-_-_-_}__,.ノ i{、 ヽ}i-_-_-_{ニニヽ . . \ニニニニニ.}!ニ=-\ \ __/-_-_-_-} \、j}!-_-_-_}ニ}i }ニ\ . . \ニニニニ}iニニニ=>s.,_/_-_-_-_-_>、 }ト<-_-_-_}ニ}! }ニニ\ . . \ニニニ} !ニニニニニ}≧-_-_-_>゛ } , ---- 、、,,_ / / ヽ`' 、 / ヽ ヽ , / / } ヘ l / / / /V l / / / />''´ V l / , ,' /≦¨¨`ヽ l } ,、、. / / {/ l ,'ヾ炒㍉ ''⌒} ' 八 ヽ -、 { { { l l 'ィ=x' { 「やぁお早う、新しい人類の進化の先駆者よ」 ,,ィゝ-ィ''^¨¨ ', { | ,、_ .〉 / ハ ァ''´ /´ ,、丶 〉、 ヾ ',、 ゝ._ア ,イ / >''⌒ヽ 「その身体で為すべきことを行うんだ!」 `¨¨ゝイ___,、ィ/} >、 ヽ ヽ\_ .ィi( , ,ィ''⌒ヾ', /ゝ‐''- ハヽ_ Y、 `<V< >、 廴彡''" Y )! {〈 } `¨´ ∨ヽ/ニヘ ヽ `''<从ゝ ミh、イ 「手始めに、身を隠す装備からかね?」 l」 l ∨/ニニ}、', ',__> ヽ ヽ‐く⌒ `从 ',圦 廴)ニリ、_ノ ノ ノ\\ヽ /(⌒ヽ._/ノ--彳ニh' ( /`Y``''~ヽ ヽヽ ,、 -==x. /ニ/`'''''<ニニニニニニニニh、 `'< `'''ヘ ヽヽ /,、-=ミ. ∨ /ニア ヽニニニニニニニニニ()h、 ヽ ヘ マム/;;;;;;;;;;;;ハ l /ア ',ニニ{ニニニニニニヽニニh、 ヽ } }ニハ;;;;;;;;;;;;;;;;;} }. ,イイ .',ニ圦ニニニニニニニ()ニニ§ V l /oニ};;;;;;;;;;;;;;/ /. // ',ニニヘニニニニニニニニニニ心 l / /ニニリ;;;;;;;;;;;;;/ /-‐=≦ニ/ /| lニニニヘニニニニニニニニOム| /イニoニイ;;;;;;;;;;;;;/ / /  ̄ \ / ' , ; | ; ,ヘ__,ヘ .; _,/ / ‘ , .乂 ___/ .| , ∧ ∧ \__ / ヘ ',ゝ-彳 .〉、 / 〉 〉、 /..\.' , ,' ,. '..∨ / ヽ 「フード付きのがな――」 弋\_ /__ \_/イ........〉 | ‘ , / `ー〈 \ i ;'/⌒ | ‘ , まるで初めて喋ったかのようなその声は / ‘, Yi1|! ト、 ‘ , ,. ' . ;.ハ _,.ィi彡'⌒ー---tttf´ \ ‘ , 喉からは出ていなかったが、どこか楽しそうだった / / { ̄ ̄ ... |∧ \ ∨ / ./ } _,...r=ミ、..,, . | i沁、 } \ ,. ' / ./ ,.ィi〔父ミメ、 ≧!i i i ∧ ._/| \ ,.ィ′ / {三爻爻ハ爻爻〉三ヨi i i i i i `¨f´ / r--ぅ \ __ rく \ _ノ'´ ;仁三r彳 〉 `ァ三三ヨ i i i i i i i i i i`''<_,/ ,rヘ, iム_ ゞ、≧フ,. ' .ィ、 ⌒7'´ √ T冰人 人冰>''"∧i i i i i i i i i i i i i i i`''< .{ [__つ /,. '.ィ ㌢⌒ヽ/ /, . . . { . . . 7 天 .「 . . . .} . . . .∧i i i i i i i i i i i i i i i i i i iヽ\\ 弋_ /,. 'ィ、 / .///、 . . | . . .;! .{ } .| . . . . |. . . /、i i i i i i i i i i i i i i i/ ゝ〈\\´'` /'´ // / // ;. .\! . . { . |__.} .| . . . . / . . ∧i i i i i i i i i i i i/ し `\ / , '´/./ . . . . .\_|三!._/ . . . . . . ∧i i i i i i i i i 〈 /レ′;! ; . . . . . . . . |三|三ヨ . . . . . . . . . . . .∧i i i i i i i i i i〉 // ;i}〈 \ . . . |三|三ヨ . . . . . . . . . ./ . .〉i i i i i/ _、+'” '´ ∥ ;. ./ i\ . . |三{三リ . . . . . . ./ i iマムi i >''~ // ∥ ;. .;' i i |ニヽ,|三{三i| . .,.。*仁| i i i iマム´ Y / ノ/..〈 イ i i i |三三ニ{ニニレ仁三∨ i i i i iマ .〉 ゞ彡 彡′ \i i i |三三ニ}三ニ三ニ∨ i i i i i i У \_∨ニニrセ升笙笙沁、 i i/ 〈 i辷i圦圭圭圭圭Ⅳ/ ‘,圭洲圭圭圭圭/ Ⅷ洲圭圭圭圭′ Ⅶili|圭圭圭Ⅳ {圭l|圭圭圭/ {圭l|圭圭圭! {圭l|圭圭祓 }圭|圭ヨl祇 |圭!圭圭ヨ {圭|圭圭圦 込/圭圭圭} `T圭圭「 乂圭シ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; ,;;,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; ;; ,,,., ;; ;. ; .. ;; ; . ,, ...,.. . ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,;,;;;;;;;;;;;;;; ; ;,,;, ;; ;; ; ;.;.,, ;; . ,..; ;.,. ....,.. .. . ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;; ; ; .; ; ., ; .;.; .; ;,,. ; ,,.. .;..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; . ; ;,, .; ,, ; ;,, , , ..,. ..;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; ,.;; ; ,.;; ; ....,,.,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;,; . ;; ; . .,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;; , . ; . ,,..,,,...,;;;;;;;;;;;;;;;;,; ., ;.,.; . ;, ;.. ..,,. .. .;; ;; .,; ,. ,. .,,..,.,... .,.
https://w.atwiki.jp/kasuga_basara/pages/130.html
先日は騙されてしもうたが、今日こそは二人まとめて葬ってくれるわい 二人まとめてあの世行きぢゃあ! わしを甘く見たつけを払わせてくれるわい このてんめいのいくさに みなれぬかげが まぎれていますね ワシらの一騎打ちの邪魔をする者は誰ぞ! 北条が神風、風魔小太郎ぢゃあ! ぶえっくし! ぶえっくし! ちくしょうめー! なっ!忍か…なかなかの身のこなしよ やみにいきるものよ わたくしたちとおなじぶたいにたつなど すぎたゆめ 北条の!お主自身がかかってくるがいい ぶわぁーかめ! 風魔を倒してから言うがよいわ! わたくしのうつくしきつるぎを やぶったのは おまえですね さながら風の悪魔といった所か 侮りがたし いくついのちをうばおうと おまえのこころのかわきは きえません 甲斐の虎も軍神も大したこたないのー! 久々に清々したわい
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/1021.html
wikiの趣旨にそぐわないので削除
https://w.atwiki.jp/gball/pages/868.html
前へ | 次へ クリア条件:シナリオクリア 開始時間:2010/05/15(土) 10 21 30.81 終了時間:2010/05/15(土) 12 02 28.67 参加人数:1 月刊少年ガンガンに11年間連載されていた同名漫画をゲーム化したコミカルRPG。 SFCではゲームもエニックスが出していたがこちらはタカラ( ^ω^) 主人公は最初に勇者のニケか魔法使いのククリを選べる。 実にタカラっぽいミニゲーム集でした。 ちびまる子ちゃんと効果音とか同じだし!
https://w.atwiki.jp/jojosyana/pages/44.html
ジョジョの奇妙な冒険×灼眼のシャナ STARDUST・FLAMEHAZE* 【CHAPTER#15 戦慄の暗殺者】 その日、疼く傷痕を押し、かなり遅れて学園に登校した花京院 典明は、 突如何の脈絡もなく出現した白い”封絶”を呆然と見上げていた。 「この能力は……!まさか、「あの男」が此処に来たのか……!?」 『狩人』フリアグネ。 そのあまりに純白な為に青みがかってみえる白のスーツを端正に着こなし 同じく純白の長衣を細身の身体に纏っていた、 まるで現世と幽界の狭間に立っているかのような虚ろな雰囲気の幻想の住人。 旅行先、エジプトでのDIOとの最悪の邂逅により「肉の芽」によって下僕にされ、 いつのまにか軟禁されていたDIOの館で命令を待っていた時、 壁に立てかけられたランプの灯火のみが光源の薄暗い地下の書庫でよく顔を合わせた。 ”紅世の徒”という『幽波紋(スタンド)使い』と同質の力を持つ、 異界の能力者の存在はDIOの参謀である褐色の麗人、 占星師エンヤから幾度か聞かされてはいたのだが 実際に逢ってみるとその容姿や外見は人間のそれと殆ど変わらないので 拍子抜けした憶えがある。 その地下の書庫でフリアグネは花京院に幽波紋(スタンド)と 同様の能力を持つという異界の神器、『宝具』を自慢したり、その宝具の能力や 上げた戦果の解説(というよりフリアグネが勝手に一方的に喋っていただけだったのが) をカルトコレクターにありがちな大仰な手振りと言い回しで花京院にしたりした。 どんな書物にも決して書かれていないそれら異界の住人の不可思議な話は、 フリアグネ自身の持つ神秘的な雰囲気とその語り口の巧さも手伝って 花京院の知的好奇心を大いにそそるものであったので、 花京院は手元の本に視線を落としながら適当に相槌を付く振りをして 毎回深く聞き入っていた。 そうやって何度かDIOの館の書庫で話を交わす内、 ある日、フリアグネは唐突に自分に「ある事」を告げてきた。 その時の言葉が花京院の脳裏に鮮明に甦る。 『どうだい?私と「友達」にならないか?』 靴も指もない肌色フェルトの喋る人形”マリアンヌ”を大切そうに胸に抱きかかえ、 いつもの通り愛用宝具の戦果を多少誇張して話し終えたフリアグネは、 いつもの通り黙って本に視線を落としながら話に聴き入っていた 花京院に向かってそう言い放った。 『君と私は良く似ている。その容姿も。性質も。能力も。 まるで現世と紅世の合わせ鏡の存在であるかのように。 そうは想わないか?花京院 典明君?』 フリアグネはそう問いかけながら豊かな頭髪と同色の 透き通るようなパールグレーの瞳で自分の瞳を覗き込んできた。 口元にナルシスティックな耽美的微笑を浮かべ、触れれば輪郭が掠れような 線の細い美男子の紡ぐ声は、何処か調律の狂った弦楽器のような奇妙な韻を含んでいた。 その怜悧な瞳に宿る淡麗な光が、今まで押し隠し続けてきた 自分の心の暗部を静かに照らし出し、そして無言のままに語りかけてくる。 「孤独なんだろう?」と。 「誰も自分の真の姿を知る事が出来ないから」と。 そして蠱惑的な誘惑と共に最後にこう語りかける。 「安心し給え。私には見える。『君の真実の姿』が。 私なら君と真に心を通わせる事が出来る。 世界中で私だけが君を理解してあげられるよ」と。 『……………………』 そのフリアグネのやや軽薄な見かけと口先とは裏腹の、 尖った鏃のように尖鋭な洞察力に花京院は反射的に警戒心を抱く。 その花京院の心情をその灰色の瞳で素早く見抜いた フリアグネはすぐに一歩引いて宥め賺す。 『おおっと、そう警戒しないでくれたまえ。別に疚しい下心や他意は一切無い。 君の高潔な知性と精神に対する純然たる敬意と好意さ』 そう言って大仰に開いた両手を演技っぽい動作で左右に振ってみせる。 その演技っぽい過剰なリアクションが余計に花京院の警戒心を尖らせた。 その花京院の様子を黙って見つめていたフリアグネの胸元で抱かれている人形、 ”燐子”マリアンヌが笑みの形で結ばれた口を一切開かず、 微かに蠢かせただけで花京院へと言葉を告げる。 『アナタ?何を勘ぐっているかは知らないけど正直それは無粋と言うものよ。 私のご主人様を信用なさい。ご主人様に好意を抱かれ友人に選ばれるなんて とても名誉な事よ?この方は誉れ高き紅世の”王”なのだから』 純白で鈍い光沢のあるシルクの手袋で覆われたフリアグネの華奢な手にスッポリ 収まってしまう程小さい人形マリアンヌは、その愛くるしい見かけには不相応な 清廉な声で花京院に言った。 その途端、 『マリアンヌ!!』 急に先程以上の芝居がかった過剰な演技で、フリアグネは右腕を 悩ましく折り曲げて額に手を当てる。 『よしておくれよ私のマリアンヌ!友人同士の信頼関係の前には そんな身分や肩書きなど障害でしかない。 私が望んでいるのはそんな低俗な関係ではないのだよ! 解ってくれるだろう?マリアンヌ?私の友人は君の友人でもあるのだから』 フリアグネは赤子をあやすような悲哀滋味た声でマリアンヌに告げる。 心なしかそのパールグレーの瞳が潤んでいるようにも見えた。 『申し訳ありません。ご主人様。出過ぎた真似をしてしまいました』 『謝らないでおくれ、マリアンヌ。先に君に言っておかなかった私も悪かったんだ』 フリアグネは今度は過度に優しい笑みを浮かべ、マリアンヌのフェルトの頬にそっと口づけた。 まるでコワレモノを扱うような繊細な仕草だった。 『……………………』 花京院は黙って表情を崩さずその二人のやりとりを見つめていた。 正直ついていけないと内心では思っていたが、目の前のこの二人(?)は 人間ではないので人間である自分の理で二人の品性を判断するのは あまり好ましくないという彼なりの美意識による無言の選択だった。 『おおっと、すまない。恥ずかしい所をみせてしまったね』 フリアグネはそう言って何事もなかったかのように純白の長衣を翻した。 『実は私はこのマリアンヌさえいれば他には何もいらないと今まで思っていたのだが、 「あの方」に出逢って以来少々欲張りになってしまったようでね。 「友人」も一人位いても良いかなと最近では思い始めているのだよ』 そう言ってフリアグネは今度は手品師のように両腕を大袈裟に広げてみせた。 『ところで敬意と言えば彼、何と言ったっけ?そうそう、 『亜空の瘴気』ヴァニラ・アイスと言ったか。 「あの方」の近衛騎士長であり『最強の幽波紋使い』というので興味が在ったのだが、 どうやら彼は私が嫌いらしい。特に気に障るような事をした憶えもないのだが…… でも残念ながら振られてしまったよ』 心底残念(本当にそう思っているかどうかは疑わしいが)といった表情で フリアグネは大袈裟に頭を垂れる。 胸元のマリアンヌもシルクの手袋に包まれたフリアグネの指に 頭を押されて一緒になって俯いた。 『彼はDIO様以外、誰にも心を赦さない』 よく喋る男だと思いながら花京院は腰の位置で両腕を組み簡潔に応えた。 ヴァニラ・アイスの、そのあまりに凄まじすぎる幽波紋(スタンド)の力は 正に一騎当千、並の『幽波紋(スタンド)使い』千人分に相当する。 その最大最強の幽波紋(スタンド)能力故にDIO様の傍に仕える者は 自分だけで充分だと常日頃公言している彼、DIOの幽傑の軍勢の中では 占星師エンヤと共に双璧を為すヴァニラ・アイスの事だ。 自分と同じようにDIOに心酔し、そして彼にはない柔らかな物腰と卓越した話術で DIOに接するフリアグネに良い感情を抱く筈はない。 おそらくはDIOとの謁見時、巧みな話術と豊富な話題で 統世王と言葉を交わすフリアグネに内心では歯軋りをしていた事だろう。 「君は彼の前ではDIO様の事は一切口にしないほうが良い。 「消される」ぞ。『冗談ではなく本当にな』」 今まで聞かせて貰った話の礼代わりに花京院はフリアグネにそう忠告した。 『そのようだね。私は彼のように古風な男も決して嫌いではないのだが、 おおっとすまない、終わった後朝(きぬぎぬ)の話を君にしても詮無き事だな」 そう言うとフリアグネは長衣を再び翻して、厳かに花京院に向き直る。 そしてその透き通るようなパールグレーの瞳で、 机の上に置かれたカンテラの灯火に反照する 花京院のライトアンバーの瞳を真正面から見つめてきた。 『さて?私の語らいに対する返答は如何に?流麗なる”法皇の翡翠”花京院 典明君?』 そう言ってフリアグネは、その硝子工芸の薄い切り口のように耽美的な口唇を 笑みの形に曲げた。 『……考えて、おこう』 花京院はその時それだけ告げてクラシックなデザインの椅子から腰を上げ、 フリアグネに背を向けた。 『では、明日また、同じ時間にこの場所で』 背後で先刻よりも調律の狂った声色がした。 『良い返事を期待しているよ。花京院 典明君。フフフフ……』 『ご主人様と一緒にこれからよろしくお願いするわ。 仲良くしましょうね。カキョウイン』 歩き出した花京院の背後から、喋る人形の声とその主である幻想の住人の声が 笑みと共に静かに自分を追いかけてきた。 エンヤを通してジョースター討伐のDIOの勅命が下ったのはその直後だった。 フリアグネには何も告げず(最もその暇もなかったが) そのままエジプトからエンヤ所有の個人機で直接故郷の日本へと向かった。 空条 承太郎を始末する為に。 もし、あと一日、勅命が遅れていたのなら。 もし、次の日に、あの男の前に立っていたのなら。 果たして、自分は、一体なんと答えたのだろう……? 脳裏にいきなり甦った答えのでない過去の疑問。 それは目の前の現実の疑問の前に花京院の頭の中から静かに掻き消えた。 「しかし、一体何故?学校で能力を発動させたんだ?」 白い封絶の放つ火の粉と気流で花京院のそのバレルコートのように長い、 細く滑らかな身体のラインに密着した手製の詰め襟の学生服の裾が靡く。 そのとき直感にも似た確信が花京院の脳裏を過ぎった。 「まさか!?空条が!今此処にいるのか!?」 驚愕に花京院のそのヘッソナイトの結晶原石のような琥珀色の瞳が見開かれた。 「信じられないがそれしか考えられない!全くなんてヤツだ! 僕の流法『エメラルド・スプラッシュ』の直撃を受けていながら その傷がたったの一日で完治したというのか!? そんな凄まじい耐久力と再生力を持つスタンドなんて今まで聞いた事もないぞッ!」 承太郎の強大なスタンド能力に驚嘆しつつも、 花京院の胸の内に言いようのない焦燥感が迫り上がってくる。 本人の自覚のないままに。 「空条ッ!!」 花京院は黄楊(つげ)の油で良く磨き込まれ、手入れの行き届いた学生鞄を 無造作に芝生へ放り投げると、耳元のイヤリングを揺らしながら 昇降口へと向けて足下のアスファルトを蹴った。 承太郎とシャナは木造旧校舎三階から新校舎とを繋ぐ噴水の設置された中庭を 軽々と飛び越え、新校舎とは別棟にある図書室の前に同時に着地した。 承太郎は足裏がスタンドとほぼ同化していた為、接地の瞬間派手な音を立てて 足下のアスファルトを陥没させ、シャナはその磨き込まれた体術により、 着地の衝撃をほぼ掻き消して落葉のように軽やかにアスファルトの上へと舞い降りる。 そのまま互いを一瞥し、そして無言のまま白い陽炎の揺らめく 昇降口に向けて共に全速で駆けだした。 高速移動によって発生した気流により承太郎の学ランとシャナの黒衣の裾が 地面とほぼ平行に舞い上がる。 瞬く間に白い陽炎が舞い踊る昇降口がカメラのズームアップのように 一挙に迫ってきた。 その距離が20メートルにまで縮まった時、承太郎が叫ぶ。 「シャナッ!!」 声とほぼ同時にシャナが承太郎の脇で共に疾走しているスタンド、 スタープラチナの肩に飛び乗る。 「解ってンなッ!!オメーは「上」!オレは「下」だッ!!」 「了解ッ!!」 「ッオラァッッ!!」 スタープラチナは黒衣の腰の辺りを掴むとそのまま片腕で 頭上の屋上に向けてシャナを真上に投擲した。 シャナも投げられる瞬間スタープラチナの腕を足で蹴って更に加速を付ける。 炎髪が火の粉を撒きながら、シャナは紅い流星のように天空へと 垂直に駆け昇っていった。 その様子を確認する間もなく承太郎は閉じられた昇降口のスチール製の扉を スタンドと自分の足で蹴破って新校舎の中へと突入する。 一瞬で下足箱を通りすぎ、軸足を右に反転させて二階へと続く階段へと駆けだした時、 閉じていた1年の教室の両開きの扉がいきなり中からブチ破られ、 そこからいつぞやの巨大な人形達が大挙して飛び出してきた。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァーーーーーーーーーッッッ!!!」 すぐさまにスタープラチナの音速の多重連撃が疾走したままの状態で射出され、 承太郎とスタンドは拳風の嵐と共に人形達の間を駆け抜ける。 『幽波紋(スタンド)』の操作に慣れてきた所為もあって拳撃の速度と軌道の精密さは 以前よりも格段に上がっていた。 足下を拳風によって巻き起こった一迅の気流が吹き抜けた直後、 背後で無数の拳型の刻印を全身に穿たれた人形達は衝撃と余波でその身を爆散させ 瞬く間にスクラップとジャンクの山と化す。 承太郎の足下に歯車やゼンマイ等のクラシックな機械部品が 白い火花を放ちながら転がった。 それらを一瞥し再び駆け出そうとした時、 今度は1-4と1-6のクラスの扉が同時に開いた。 そしてそこから先程の3倍以上の人形の大群が、ドアと壁とをブチ破りながら 再び承太郎とスタープラチナへと襲い掛かって来る。 その巨大な各々の手にはそれぞれファンタジー小説にでも出てきそうな 機能性を欠いた大仰な武器が握られていた。 「チッ!挟み撃ちかッ!」 咄嗟の事態に承太郎は自分を見失わずに冷静に対処した。 『多人数に襲われた時は4方向を同時に対処する』等という 都市伝説じみた俗説を信じたりはせず、瞬時にスタープラチナの白金の「眼」で 前方、後方の個体数を確認する。 (さっきのは「囮」……数は前が「12」後ろが「8」……「後ろ」だッ……!) 微塵の躊躇もなく刹那に決断を下すと、足下のリノリウムの床を スタープラチナの脚力で爆砕しながら踏み砕いて後方の人形達に迫り、 虚を突かれ廊下を押し塞ぐようにして向かってくる最前列の人形3体に、 先に床に接地した右足を軸にして足下に摩擦の火線を描きながら、 加速の勢いを付けた予備動作(モーション)の大きい右旋撃を周囲の空気を 捲き込みながら撃ち落とし気味に発射した。 「ッオラァッッッ!!」 前方3体の人形の眼前を白金色の閃光が斜めに駆け抜ける。 途轍もない破壊力とスピードにより衝撃でそれ自身が巨大な人形魚雷と化した 3つ巨体が後方に弾け飛び、後ろで構えていた人形を巻き添えにして5体全てを バラバラにする。 それらを耳だけで確認した承太郎は次なる戦闘の為、 フレキシブルに背後へと振り向く。 そこへ、 「エメラルド・スプラッシュッッ!!」 聞き覚えのある清冽な声と共に、輝く数多のエメラルドの飛沫が空間を隈無く 数直線状に滑走した。 死と破壊の煌めきを放つ、輝く無数の翡翠の光弾は承太郎の後方に居た 12体の人形達の巨体そのありとあらゆる部分を挿し貫き、 飛散する白い炎の破片と共にものの数秒で物言わぬ残骸へと化しめる。 人形達を貫殺した輝く無数の魔弾の群は、承太郎とスタープラチナには一発も着弾せずそして掠る事もないままに碧い煌めきの余韻に残しながら後方へと駆け抜けていった。 「無事か!?空条ッ!」 花京院は幽波紋(スタンド)『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』と 共に流法の構えを執り、額に透明な雫を浮かべながら承太郎に叫んだ。 「テメー……花京院……!」 予期せぬ侵入者に承太郎は鋭く瞳を尖らせた。 「……………………」 「……………………」 そのまま互いに無言のままそのライトグリーンとライトアンバーの 瞳に宿った光が交錯する。 交差する二つ視線の間では激しい観念の中での心理戦が行われていた。 相手との。そして自分自身との。 DIOの「肉の芽」で操られていたとはいえ嘗ての敵同士。 理屈で納得はしていても感情はそう簡単にはいかない。 しかし今自分が居る場所は戦場。どこかに敵が潜んでいる。 それは承太郎も花京院も充分すぎるほど熟知していた。 下らない私情で大局を見失う事があってはならないと。 沈黙の中、承太郎が静かに口を開く。 「傷は、もう良いのかよ?」 承太郎は左手をズボンのポケットに突っ込んだまま花京院に言った。 花京院は承太郎が負傷していない事に安堵の表情を浮かべると、 構えとスタンドとを解き静かに承太郎に歩み寄った。 「昨日「あの後」君の祖父、ジョースターさんに治してもらった。 『波紋法』という能力だそうだね?精神の力、『幽波紋(スタンド)』とはまた違う、 肉体の力を極めて編み出す超能力らしいが」 承太郎は無表情で、しかし複雑な心情で花京院を見つめる。 昨日の「あの事」を責めるべきか? それとも今自分を援護してくれた事に礼を言うべきか? そのどちらとも判断が付かなかったので承太郎は至極一般的な応えを花京院に返した。 「そうは言っても「アレ」は万能じゃあねーぜ。病み上がりは家で大人しくしてな」 サブヒルトナイフのような変わらぬ鋭い視線で承太郎は花京院に告げた。 ぶっきらぼうな言い方だが承太郎が自分を労ってくれた事を感じ取った花京院は、 微かな笑みを口元に浮かべて応える。 「大丈夫さ。多少痛みはあるが戦闘には差し支えない。 「あの時」君が猛りながらもちゃんと急所を外して置いてくれたからね。 お優しい事に」 花京院はそう言って顔の前で厳かに人差し指を直立させる。 「ケッ……」 と承太郎はその花京院の気取った仕草にそう吐き捨てた。 その承太郎の彼らしい照れ隠しの仕草にもう一度笑みを浮かべた花京院は、 次に自分が執るべき行動を頭に思い浮かべ表情を怜悧に引き締める。 「それより急ごう。もう知っているかもしれないがこの能力は発動させた「本体」が 倒されるまでは解除されない。時間を於けばおくほど他の生徒達が危険に曝される」 再びその視線を清冽に研ぎ澄ました花京院はそう言って承太郎を促した。 大体の予測はしていたが、胸の内の葛藤の為に完全にはその言葉を 素直に受け入れ切れない承太郎は共に駆け出そうと自分に背を向けた花京院に 己の疑問を包み隠さずに伝える。 「まちな。敵のテメーが何でオレを助ける?」 承太郎は鋭い視線のまま星の刻印(レリーフ)が浮き彫りにされた 指輪が嵌められた指先を持ち上げて逆水平に構え、こちらに向き直った花京院を差す。 その承太郎の問いに花京院は瞳を閉じ、肩を竦めて淡白に答える。 「さぁ?そこの所が僕にもよく解らないのだが?」 「……………………」 承太郎は鋭い視線を崩さないまま花京院を見つめた。 「君の御陰で目が覚めた……それだけさ……」 花京院は瞳を閉じまま今度は静かに重く、そう告げた。 「……………………」 そのまま、またしばらく花京院を指差したまま静止していた承太郎は やがてその差した指先をゆっくりと折り畳むと 「フン……なら勝手にしな」 と静かに、しかしはっきりとした口調で言った。 「!」 自分を信用してくれた承太郎のその言葉に、花京院は自分でも意外なほどに 衝撃を受け、その淡い琥珀色の瞳を見開くと 「あぁ!そうさせてもらうよ」 と穏やかな微笑を口元に浮かべた。 そして再び笑みを消して表情を引き締めると承太郎に問いかける。 「ところで空条?昨日君の傍にいたあの女の子、 マジシャンズは今日一緒じゃないのか?」 という花京院の問いに承太郎は 「ああ、アイツは今屋上にいる。「上」と「下」から追い込めば 親玉を燻し出して「挟み撃ち」に出来るというオレの判断だ」 と簡潔に答えた。 承太郎の言葉に花京院は顎に手を置いて少し考えるようにして俯くと 「悪くない手だとは思うが………………マジシャンズを「上」に行かせたのは ミスだったかもしれないぞ?空条」 と顔を上げて言った。 「……だと?」 予期せぬ花京院の言葉に承太郎は視線をより鋭く尖らす。 「実は、いま君達を襲ってきた敵を僕は知っている。 詳しい説明は省くが「フリアグネ」という僕と同じ遠隔操作系の能力を持つ 暗殺専門の能力者だ。その戦果の完全性から『狩人』の異名で仲間内では呼ばれていた」 「『スタンド使い』……じゃあねーな。人間じゃあねぇ特殊能力を 持つヤツら……”紅世の徒”とか言うヤツか?」 「その通りだ。今まで数多くの異界の能力者”フレイムヘイズ” を相手にしながらただの一度も敗れた事がないらしい。 それ故の”狩人”の通り名、又は『炎の暗殺者』とも呼ばれている」 「暗殺……」 承太郎はシャナのフレイムヘイズの戦闘能力と、ソレ専用に特化(カスタマイズ) された暗殺能力との相性をすぐさまに己の鋭い洞察力で分析し始めた。 そして弾き出されたその結果は………… 最低最悪。 一撃必殺の威力持つ大太刀『贄殿遮那』に加えそれを竜巻のように 縦横無尽に繰り出す強靭な身体能力と戦闘技術、 更に激しく渦巻く紅蓮の炎とを同時に操る能力を併せ持つシャナは、 一見して「無敵」かに想われる。 しかし、それはあくまで一体一、真正面からの力のブツかり合いでの話だ。 姿は解らないが今回のような相手。戦略と戦術とを戦闘の主体に据え、 正々堂々真正面からブツかり合う事を得策とせず、可能な限りリスクは最小限にし、 力の消耗を抑え、博打は避け、『目的の成就のみを』至上として 勝利へのコマを一手一手着実に詰めていく老獪な相手、 「暗殺者」はまさにシャナような近接戦闘を得意とする「戦士」にとっては「天敵」と言って良い。 シャナの戦闘能力は確かに凄まじい。 単純な殺傷能力だけで言うなら自分の『星の白金(スタープラチナ)』すらも 瞬間的になら凌駕するかもしれない。 しかし、強い力は、それに正比例してエネルギーも多く喰う。 つまり、持続力が短いのだ。 花京院は言葉を続ける。 「その狩人、フリアグネの必勝の秘密は彼の持っている「銃」にある。 スタンド能力ではないが特殊能力を持っているという点ではスタンドとほぼ同じだ。 その銃で撃たれた異界の戦闘者”フレイムヘイズ”は掠っただけでも 全身が己の炎に包まれて灰燼と化すらしい。 フレイムヘイズは自分の力に絶対の自信を持っている者が多いから 『拳銃如きには関心を示さない』という事が死角を生み、彼に倒されてきたようだ。 これは本人の口から直接聞いた情報だからおそらく本当の事だろう」 花京院はそこで一端言葉を切って承太郎に考えをまとめる時間を与える。 「……その紅世の徒、フリアグネとか言うヤツは今屋上にいる…… それで間違いねーのか……?」 そこまで考えが廻らなかった己の甘さを呪いながら承太郎は静かに言葉を紡ぐ。 この白い封絶を使う相手は自分では絶対に手を下さない 黒幕的な性格を持つ者であるという事にはとっくに気がついていた。 何よりDIOの配下の者であるという点で正攻法のやり方が通用しない等と いう事は類推して然るべきだったのだ。 「ああ。派手好みで高慢な男だったから彼の性格上「下」は下僕に任せて 自分は「上」で高見の見物を決め込むという可能性が高い。 マジシャンズは僕達『スタンド使い』とは違う異界の能力者、 その”フレイムヘイズ”だったな?だとしたら状況はヤツに有利だ。 『狩人』の能力で彼女を人質にでも取られれば君はヤツに手が出せなくなる」 花京院は残酷だとは想いつつも承太郎の考えを肯定する。 そうする以外何も出来なかった。 「クッ……シャナ……!」 思わず悔恨が口をついて出る。 シャナを一人にするべきではなかった。 承太郎の脳裏に己の紅蓮の炎に焼かれるシャナの姿が過ぎった。 「シャナ?マジシャンズの事か?」 花京院の問いに承太郎は視線だけで頷く。 そして苦々しい想いを噛み砕きながら花京院の考えを肯定した。 「花京院、確かにオメーの言うとおりかもしれねー。 そのフリアグネとかいうヤローはまず『オレじゃあなくシャナに狙いを絞ったんだ』 対複数戦の場合、倒せるヤツから着実に潰していくのは定石中の定石だからな。 アイツの能力はDIOを通して敵のヤツらに知れ渡っている。 つまり「弱点」までもだ!今まで倒したスタンド使いの事も含めて 『アイツの能力は敵に研究され尽くされて』やがる!」 承太郎はそう言ってささくれ立った神経を宥める為 煙草を学ランの内ポケットから苛立った手つきで取り出し、口に銜えて火を点けた。 細い紫煙が鋭く口唇の隙間から吐き出される。 彼らしくない、己に対する怒りを露わにした吸い方だった。 銜え煙草のまま承太郎は分析を続ける。 「そしてアイツは、一見冷静に見えて実は直情的で考えなしな所がある…… テメーに対する挑発は受け流せてもそうじゃあねぇ、例えば身内のヤツとかを 侮辱されたらカッとなって一気に相手の射程圏内に招き寄せられる可能性は大だ。 そうなりゃあもうその銃の餌食、イヤもう片足突っ込みかけてっかもしれねぇ……!」 苦々しく吐き捨てながら承太郎は煙草の色の濃いチャコールフィルターを噛み潰した。 (フリアグネ……ソイツはシャナを誘き寄せて秒殺する為に屋上で能力を発動させたんだ。 『上に来るのはオレじゃあなく身軽なシャナだという事まで先読みして』 クソッたれが!この空条 承太郎ともあろう者がまんまと 敵の術中にハマっちまったゼ……!) 吹き出した煙草の吸い殻を足下で乱暴に揉み消し、二本目を口に銜えた承太郎に 「君?随分詳しいんだね?マジシャンズ、イヤ、シャナ、だっけ?彼女の事に」 花京院が不思議そうにしげしげと自分を見つめながら言った。 「……………………」 まるで心理の虚を突かれたように承太郎は一瞬視点が遠くなったがすぐに 「詳しいのはオレじゃあなくてジジイの方だ。オレはヤローの話を又聞きしただけだ」 と銜え煙草のまま微塵も表情を崩さずに鋭い視線で否定した。 いつになく強い口調で承太郎が言ったので花京院は 「そう……」 と静かに呟き、そしてすぐに承太郎のライトグリーンの瞳を見つめ返した。 「でもこれで敵の狙いは読めた。『狩人』フリアグネはまずマジシャンズ、 シャナを捕らえた上でそれを罠(トラップ)に利用し、君を始末するつもりだ。 さあ!先を急ごう!『この人形達と他の生徒の事は僕に任せて』君は速く屋上に!」 「花京院……テメー……」 承太郎は花京院の言葉に思わず声が詰まる。 ただ「戦い抜く」事よりも『護り抜く』事の方が遙かに難しい。 自ら一番危険な役目を買って出たその花京院の気高い覚悟と決意に 承太郎の心は静かに震える。 花京院はもう一度口元に穏やかな微笑を浮かべると承太郎に背を向け、 「君は命懸けで僕をDIOの呪縛から解き放ってくれた! だから今度は僕が君を助ける番だッ!!」 と花京院は背を向けたまま偽りのない気持ちを 力強く承太郎に告げるとスタンド、『法皇の緑(ハイエロファントグリーン)』を 背後に出現させ学生服の裾を靡かせながら共に職員室の方へと消えていった。 それを黙って見送った承太郎は 「やれやれだぜ……死ぬんじゃあねーぞ……花京院……!」 銜え煙草のまま口元に仄かな微笑を浮かべ、学帽の鍔で目元を覆った。 ← TO BE CONTINUED……
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/838.html
第一章 使い魔は暗殺者 前編 リゾットは怒っていた。心の底から。頭のてっぺんを突き抜けるような怒りを、不甲斐ない自分に感じていた。 ――オレは…何一つとしてっ、仲間と交わした誓いを果たすことが出来なかったっ!! それが、リゾットの怒りの原因だった。 ボスを殺すこと。 栄光を掴むこと。 仲間たちと約束したことを、リゾットは何一つとして叶えることが出来ず、無様に死んでいく自分が、リゾットはこの世で一番許せなかった。 誇りを傷つけられ、栄光を掴もうと誓った。 けれど、全ては無駄に終わってしまったのだ。自分たちの反乱は、挫折した。 誰が悪いのではないだろう。強いて言うのならば、運が無かったとしか言えない。 戦いに勝つには天の時と地の利と人の和が必要だと言われている。 地の利と人の和は同等だった。けれど、天の時はブチャラティたちに味方した――そういうことだ。 しかし、リゾットはそれだけに全てを委ねる事はできなかった。 リーダーである自分がもっと上手くチームを指揮していれば勝てたのではないか。そう考えてしまうのだ。 すでに起きてしまった出来事にもしもはない――。そう分かっていても、リゾットの頭の片隅で声は囁く。 ――お前の采配が悪かったから仲間たちは無駄死にしたのだ…………。 と。 だからこそリゾットは相打ちを覚悟でボスを殺したかった。 相打ちでボスを殺してもどうしようもないことは分かっていたけれども。仲間はもう一人も残っていないし、ボスを殺しても自分が死んでしまっては、それで終わりだ。 それに、リゾット以外の仲間が死に絶えたとき、ボスを殺す理由は無くなっていた。“仲間と”栄光と掴むためにボスを殺そうと決意したのだから。 それでもリゾットがボスを殺そうとしたのは、死んだ仲間たちに少しでも報いたかったからだ。 死んだ後、あの世で仲間たちと再会したとき、胸を張っていられるように。そう思って、リゾットはボスを殺しに行った。 が、最後の最後、後一歩が及ばなかった。結局、天の時は最後までリゾットの味方をすることはなかったのだ。 ――オレたちは……決して栄光を掴む事が出来ないと言う事なのか?! 神を裏切ったオレたちには祝福を受ける資格がないと言うのか?! そんなことは……そんなことは認めないッ! 絶対に認めるものかァッ! オレは……いや、オレたちは! 使い捨てられて、踏み台にされるために生きていたのではないッ!!!! リゾットは怒っていた。心の底から。頭のてっぺんを突き抜けるような怒りを、無慈悲な神に向かって感じていた。 ――オレたちは……栄光を掴むんだ!!! 「あんたたち誰?」 雲ひとつ無い晴天の空を背景に、誰かがリゾットの顔を覗き込んでいた。 急激に意識が上昇して目が覚めたため、視界はあまりよくなかったが、リゾットを真上から見下ろしている人物が桃色に近いブロンドの少女だという事は分かった。 そうして、その少女が白いブラウスとプリーツスカートを身に纏い、その上に黒のマントを羽織っている事も。 (コス……、プレとかいうやつか?) 少女の姿を見たリゾットの最初の感想は、正直どこかずれていた。しかし、これは彼にとっては致し方ないことでもあった。 少女の格好からリゾットが連想したものは、チーム仲間のメローネが(自分の)食費を削ってまで購入していたジャッポネーゼアニメやジャッポネーゼマンガに描かれていた、いわゆる魔女っ子と呼ばれるものだったからだ。 メローネや歳若い仲間が楽しそうに読んでいるのを見て、一度だけリゾットも読んだ事があるが、あまりの展開の破天荒さに5ページほどで挫折した。 けれども、メローネたちにはそこがいいらしく、同じく面白さが分からなかったプロシュートやギアッチョとともに肩身の狭い思いをしながら、 『あれが若さか』 などという発言をしてちびちびとワインを啜った記憶が懐かしい。あの時はまだ、ソルベとジェラートも居て、ボスに反感を持つ前だった。 あれから、そう、色んなことがあった。 身を粉にして組織を大きくしたというのに、与えられた対価はそれに見合うことは無く。ボスはリゾットが嫌っている麻薬を金のために、裏の人間だけではなく一般市民にまで売り出した。 それがリゾットには気に食わなかった。元々リゾットは裏の人間が必要以上に表の人間と関わる事を良いとは思っていなかったし、麻薬は人をボロボロにする。短い目で見れば金になる商売かもしれないが、長い目で見れば害にしかならない。 そうこうしている内に、待遇に不満を抱いたソルベとジェラートがボスのことを調べ始めて、殺された。 そんな様々な要因が重なって、トリッシュというボスの娘の噂が切っ掛けとなり、リゾットたちは組織を裏切った。ボスを倒すために。 そして、昔夢見た理想を現実にするために。 しかし、現実は非情で、リゾットの仲間たちはボスの娘を護衛するブチャラティチームたちと戦い、死んでいった。 リゾットも一人ボスと対峙し、負けた。そう、ボスのスタンド能力の前にリゾットは敗北したのだ。裏の世界では負けはそのまま死に繋がる。つまり、リゾットは死んだ――はずだった。 (そうだ。俺はエアロスミスの銃弾を受けて死んだはずだ) 未だ上手く働かない思考をフル回転させてリゾットはこの状況を理解しようとした。何故、イタリアのサルディニア島でボスに敗れた自分がこんな城の見える平原に居るのか。しかも―― (この女、あんたたち……複数形で訊いた?) そのことに疑問を持ったリゾットは、目の前にいる少女を警戒しながらゆっくりと上体を起こし、体を捻って後方に視線を動かした。 「!!?」 その瞬間、リゾットはこれまで味わった事の無いほどの混乱に襲われた。 メタリカを体内に宿しているせいで白目の部分が充血している、他人とは違う目を大きく見開いて自分の後ろに広がっている光景を呆然とした表情で見つめる事しかできない。 (馬鹿な……っ、これは、どういうことだ?!) サルディニア島に居たはずなのに、こんな観光地のような場所に居る事も不可思議な事だが、それ以上に不可解なことが目の前に広がっている。 「ホルマジオ……、イルーゾォ……、プロシュート……、ペッシ……、メローネ……、ギアッチョ……。馬鹿な……、死んだはずだ……ッ」 そう、リゾットの背後には死んだはずの彼の仲間たちが倒れていたのだ。 暗殺チームのリーダーとして普段から滅多に感情を揺らす事の無いリゾットだが、この状況にはただ心の底から驚愕するしかなかった。 (天国とでも言うのか?) イタリア生まれのイタリア育ちであるリゾットはギャングに入って後も基本的な思考はローマ・カトリックに由来していた。 そのため、この異常な状態を天国と思ったわけだが――、それにしてはどうも様子がおかしい。 混乱しながらも、仲間たちは全員気絶しているだけだと確認したリゾットは、次に周りの様子を慎重に観察し始めた。 目の前には未だに少女が憤然とした面持ちで仁王立ちしている。 その遥か後ろには平地用の――つまりは守りに向いてない移住性を重視した――城が聳え立っていた。 そして、その城と少女の間に、十数人ほどの人間が、全員同じような黒いマントを羽織ってまるでファンタジーに出てくる魔法使いの持つ杖のようなものを手にして、リゾットたちを物珍しそうな顔で眺めている。 「あんたたち、誰?」 もう一度少女は聞いてきた。瞳には苛立ちの色がはっきりと見える。それ以外には、焦りと、少しばかりの恐怖。 期待通りに行かなかった事に対する拍子抜けしたような感情。それと、大きな疑問だろうか。この事態に戸惑っているようにも思えた。 「……オレは……、リゾットだ」 とりあえずリゾットはそれだけ答えた。頭の中では未だに黄色いヒヨコが踊っている。 (とにかく、ここがどこか分かるまではこちらの情報は最低限隠さなければいけないな……) 「どこの平民?」 平民? この問いにリゾットは一瞬詰まった。身分社会が崩壊して久しいこの時代、ヨーロッパにも貴族と呼ばれる人種は居るが、こういった物言いをすることはない。 つまり、導き出される結論は、ここはヨーロッパ以外の身分社会がまだ残っている土地か――、はたまた、地球ではないどこかだ。 (本当に異世界だとすると――ナルニア国年代記のようなものか) リゾットは幼い頃に読んだヨーロッパで有名なファンタジーシリーズの名前を挙げて秘かに笑った。 従兄弟が憧れていたファンタジーの世界に――もしかしてだが――自分が足を踏み入れているのかと思うと、なんとも言いがたい気分になってくる。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 と、リゾットが物思いに耽っている間に、周囲の時間はどんどん進んでいたようだ。 驚きが終わった野次馬たちが、馬鹿にしたような色を浮かべながら声を掛けてくる。げらげらという爆笑をバックコーラスにして。 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」 「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」 「さすがはゼロのルイズだ!」 ルイズ――どうやらこの桃色掛かった金髪の少女の名前らしい――の拙い反論に、他の子供たちは一斉に笑い声を上げ、馬鹿にする。 そんな子供たちの幼稚な行為に、リゾットは眉を顰めた。 他人を嘲笑うという行動は大きく分けて、自分に絶対の自信があるために相手を軽く見るというものと、相手を軽んじる事で自分が優れていると錯覚したいというものがある。 しかし、どちらの場合も相手の実力を過小評価し、自分の実力を過大評価する傾向にある。そして、それは殺し合いの世界に身を置く者としては非常に不味い事であった。 自分を強いと思うことは油断を招くし、相手を弱いと思うことは隙を生む。過去、その結果として自分に殺された要人やギャングなどの構成員たちを思い出しつつ、リゾットは緩やかに警戒レベルを戦闘時から常時に戻した。 どうやらそこに居る人間たちが結託してリゾットたちを攻撃するような状況にはならないらしい。 けれども、疑問は何一つとして解消されて無い。リゾットは慎重に彼らの出方を待った。 「ミスタ・コルベール!」 少女がまた叫ぶ。誰か――リゾットが推測するに引率者――を呼んだようで、その声に反応して人垣の中から中年の男性が進み出た。 丸い眼鏡をかけた、額から頭のてっぺんまで禿げている温厚そうな男である。この男も真っ黒なローブを身に纏い、大きな木の杖を手にしていた。 絵本や映画などに出てくる魔法使いそのものの姿だ。街でこんな格好をしていたら、道行く人たちに白い目で見られることは確実である。 が、その男――ミスタ・コルベールと呼ばれていた――を見て、リゾットの暗殺者としての感覚が盛大に反応した。 一気に警戒レベルが跳ね上がり、ドッドッドッと心臓が血液を全身に送り出そうと動き出す。酸素が体中を駆け巡り、思考が活性化する。 (この男……、強い! そして、戦い慣れしている!) 男の表情や足運びなどから彼の実力を推測したリゾットは、全身の筋肉を強張らせた。 しかし、そんなリゾットの考えとは裏腹に、男は昼行灯という言葉が似合うほど害意の無い顔でルイズという少女に対して返事をする。 「なんだね。ミス・ヴァリエール」 「あの! もう一回召喚させてください!」 そうして、のんびりとした男とは対象的に、身振り手振りで気を引き必死になって何事かを頼み込んでいるルイズの台詞に、リゾットは思い切り困惑した。 (召喚だと?) その単語を聞いて真っ先に思い出したのは、やはりチーム仲間の一人、ジャッポネーゼマニアのメローネがやっていた(ジャッポネーゼ言葉ではプレイするというらしいが)ファイナル○ァンタジーとかいう、指輪物語の設定を下地にしているRPGとかいうTVゲームだった。 頭に角を生やして杖を持った幼女が脳裏に浮かぶ。そういえば目の前にいる少女も幼い。角は生えてないようだが、杖は持っていた。 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「どうしてですか!」 「決まりだよ。二年生に進級する際、君たちは『使い魔』を召喚する。今、やっているとおりだ」 半ば涙目になりながらルイズは尚も言い募るが、コルベールは素っ気無く首を振るだけだ。 周りの生徒たちはコルベールとルイズの会話を邪魔しないように大声で笑う事は止めていたが、ルイズに対してニヤニヤと歪んだ笑みを向けている。 (召喚……使い魔……。この二人の言葉をそのまま信じるのなら、オレは……いや、オレたちは地球から別の世界に呼び出されたということか!) コルベールの登場で脳に充分な酸素が行き渡ったリゾットは、先入観を棄ててこの事態を正確に把握する事に専念する。 この状況が理解できなければ、どういった行動が最適になるのかも分からない。 リゾットの能力ならばここにいる全員を一気に殺すことも可能だが、それをして仲間が危険になるような事になってしまっては困る。 「それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。一度呼び出した『使い魔』は変更することはできない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。好むと好まざるにかかわらず、彼らのうちの誰かを使い魔にするしかない」 「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」 ルイズが屈辱と怒りで頬に朱を散らせて大声を張り上げると、また子供たちが一斉に笑った。 それをルイズが悔しそうな瞳で睨みつけるが、それでも笑い声の大合唱は止まらない。 リゾットはあまりに幼稚すぎる子供たちの反応に、呆れたような視線を向けた。 あまりに呑気すぎる。イタリアの小学生より程度が低いかもしれない。 (それにしてもオレたちはこのルイズとかいう女に呼び出されたのか……。使い魔…………というとあれか、黒猫のような扱いを受けるのか) 生粋のイタリア育ちのリゾットが想像する使い魔と言えば、ローマ・カトリックの魔女狩りでイメージが固定化された黒猫である。 ちなみにリゾットの脳内では、箒に乗った鉤鼻の魔女が黒猫を従えて満月をバックに飛んでいる姿が浮かんでいた。 (それは……少し、いや、かなり嫌だな。というよりこの傲慢で駄々っ子なマンモーニの下につくなど真っ平ゴメンだ。逃げるのが得策だと思うが……、仲間を見捨てるわけにはいかない。どうするべきか……) リゾットはこの短い時間でルイズの性格を端的にだがきちんと把握していた。ルイズには悪いが、このような人間は雇い主としては最低の部類に入る。きっと食事すらまともに与えてはくれないだろう。 「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない。彼らは……」 リゾットが本気で対策を考え始めた頃、コルベールの説教も終わりに掛かっていた。 「ただの平民かもしれないが、呼び出された以上、君の『使い魔』にならなければいけない。古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。彼らのうち誰か一人には君の使い魔になってもらわなくてはな」 「そんな……」 (どうやら使い魔とやらは一人しかなれないらしいな。しかし……、仲間にそれを押し付けることはリーダーとしてあってはならない行為だ……) がっくりと肩を落として溜め息を吐くルイズに少しむっとしながら、リゾットは冷静に情報を処理していく。 今までの会話や様子から推測できる事をまとめると、こんな感じだ。 一、ここは魔法使いが存在する異世界である。 二、リゾットたちはルイズと呼ばれる少女の使い魔として呼ばれた。 三、何故か知らないが、仲間たちは全員生き返っている。 四、彼らは学校に所属している。コルベールと呼ばれる男が教師らしい。 五、彼女らは二年生になったばかり。 六、現在、ここの季節は春だ。 七、ルイズと呼ばれる少女はクラスメイトから軽んじられていると思われる。 八、使い魔は一人一体が原則。 九、この国は平和である。 十、彼らは全員中流以上の家庭の生まれ。 ほかにも細々としたところが推測できたが、彼らと関わる上で重要になってくるところと言えばこれくらいだろう。 「さて、では、儀式を続けなさい」 「えー、彼らのうち、誰かと?」 「そうだ。早く。次の授業が始まってしまうじゃないか。君は召喚にどれだけ時間をかけたと思ってるんだね? 何回も何回も失敗して、やっと呼び出せたんだ。いいから早く一人を選んで契約したまえ」 コルベールがそう厳しく言うと、途端に周りから、そうだそうだ、早くしろよ、どれも一緒だからさっさと選べよ、などといった野次が飛ぶ。 あまりのウザさにリゾットは一瞬メタリカを使い全員の口をホッチキスの針で縫い止めようかと思ったが、止めておいた。そんなことより仲間の事が気に掛かる。 何故選ばれたのかは不明だが、この召喚によって――ソルベとジェラートは除くが――全員が生き返っている事は、リゾットにとって幸運だった。 暗殺チームに身を置き、それを率いる事になったリゾットにはチーム以外に信頼できる人間がいない。チームが家族と言っても過言では無いくらい互いを大切に感じてもいる。 (――つまり、これは恩か?) ルイズの召喚の儀式がなければ自分も仲間たちも死んだままだった。そう考えると、リゾットはルイズにかなりの恩を受けたことになる。 「ねえ」 新たな発見に脳をフル回転させていたリゾットに、空気をまったく読まずにルイズが声を掛けてくる。 リゾットが顔を上げるとそこには何かを決意して唇を真一文字に結んだルイズが立っていた。 「なんだ?」 「起きているのがあんただけだし、まあ、顔もそこそこイケてるし……。とにかく、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」 リゾットが返事をすると、瞳にあった決意はあっさりと霧散し、ルイズはブツブツと言い訳を口にする。 そのマンモーニぶりにリゾットはメタリカで説教したくなったが、いきなり目を閉じたルイズに虚を突かれた。 はて、何をするつもりなのだろう。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 疑問を感じているリゾットの前でルイズは杖を振ると、朗々とした声で呪文と思しき言葉を唱えた。 そうして、リゾットが反応するより先に、杖をリゾットの額に置く。 (何だ?! 体が動かないだと?!) とっさに避けようとしたリゾットは、そこに来て自分の体の自由が利かないことに気付いた。 上体を起こして膝立ちになった格好から、全身が彫像になったかのように身動きが取れない。そうして、そのことに戸惑っている間に、どんどんルイズの顔は近づいてくる。 一体なにが起こるんだ? そう思ったとき、ルイズの唇がリゾットの唇に重なった。柔らかい感触がする。 目を閉じたルイズは何故か頬を染めているが、リゾットにとっては蚊に刺された事と同レベルだ。 と、無感動にルイズを見つめているうちに(何しろ体が動かないのでそれ以外出来ない)キスは終わり、ルイズは唇を離した。 「終わりました」 少し恥らいながらコルベールに向かって報告するルイズを、リゾットは冷めた表情で眺める。 「『サモン・サーヴァントは』何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」 やっと厄介ごとが終わったというように晴れ晴れとした顔でコルベールが言った。 その言葉にリゾットは心の中だけで盛大に舌打ちする。やはり今のは使い魔とやらの契約の儀式だったらしい。 面倒な事になったと、頭を抱えたくなった。ルイズの唇が離れたせいか、体は元通り動くようになっていた。 後ろをもう一度覗くが、仲間たちはまだ目を覚まさない。普段の彼らならすぐに起きるのだが、一回死んでいるので勝手が違うのだろうか。 殴って起こそうかとも考えたが、スタンド攻撃が飛んできそうなので遠慮しておいた。 ここでザ・グレイトフル・デッドやホワイト・アルバムなんぞを発生させたら大変な事になる。 「相手がただの平民だから『契約』できたんだよ」 「そいつが高位の幻獣だったら、『契約』なんかできないって」 リゾットの注意が逸れている間も彼らの会話は進んでいく。それにしても平民平民と煩いものだ。リゾットは真剣にメタリカで口を塞ごうかと考える。 「バカにしないで! わたしだってたまにはうまくいくわよ!」 「ほんとにたまによね。ゼロのルイズ」 おほほほ、と今にもお嬢様笑いが聞こえてきそうな声音で、見事な巻き毛を持つブロンドの少女が言う。 顔にはそばかすが散っていて、まだまだガキといった容貌だ。外見と中身が比例している良い例である。 「ミスタ・コルベール! 『洪水』のモンモランシーがわたしを侮辱しました!」 「誰が『洪水』ですって! わたしは『香水』のモンモランシーよ!」 「あんた小さい頃、洪水みたいなおねしょしてたって話じゃない。『洪水』の方がお似合いよ!」 「よくも言ってくれたわね! ゼロのルイズ! ゼロのくせになによ!」 「こらこら。貴族はお互いを尊重しあうものだ」 ルイズとモンモランシーとかいう女の聞くに堪えない低レベルな口喧嘩(少なくともリゾットは耳栓がほしくなった)を、穏やかな声でコルベールが宥める。 この男、この集団と一人で相対しても勝てるほど飛び抜けた強さを持っているが、あまり畏怖されていないようだ。その事に僅かに首を傾げた瞬間、リゾットの体が熱くなった。 「なんだ、これはッ?!」 熱の発信源はどうやら左腕のようだ。見れば左手の甲に見知らぬ文様が刻まれていっている。熱い。 我慢出来ないほどではないが、脂汗が滲むのを感じた。 「『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ。すぐ終わるわよ」 やはりさっきのキスが契約履行の条件だったらしく、ルイズは苛立った声で説明してくれた。 どうやら契約のキスがよっぽどおきに召さなかったと思われる。しかし、激痛に襲われるリゾットにはそこまでルイズを観察する余裕は無い。 ぐっと唇を噛み締めて痛みに耐える。そして、その数瞬後、熱と痛みはあっさりと退いた。 「……使い魔のルーンか……。本格的だな……」 異常が終わった事に安堵の息を吐いたリゾットは、左手の甲に浮かび上がった文様を見てそう零した。 すると、コルベールが近づいてきて、リゾットの左手を持ち上げた。リゾットは反射的に攻撃に転じようとして、意識的にそれを抑えた。 コルベールにはリゾットに危害を加えようとする意志は無い。ただ、リゾットに刻まれたルーンを確認しようとしているだけだ。 相手に完全に敵意が無いことを理解し、リゾットはそれまで無意識に行っていた警戒を解いた。 この男はリゾットが敵になろうと思わない限り攻撃してこないだろう。 「ふむ……。珍しいルーンだな」 何か突っ込まれるかと思ったが、感想はそれだけのようだった。 もしかしたら自分が普通の人間ではないことがばれるかもしれないと思っていたリゾットは、この台詞に安心する。 「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」 「ちょっと待ってくれ」 くるりと踵を返して生徒たちに指示を出すコルベールを、リゾットは呼び止めた。平民の事を侮っている者たちなので無視されるかもしれないと案じていたが、リゾットが初めて自主的に声を掛けたからか、コルベールは興味深げな顔をして振り返ってくれた。 「何かね、――……ええと……」 声を掛けたコルベールはそこで自分がこの使い魔の名前を知らないことに気付いたようで、視線で名前を尋ねる。 リゾットはここで反抗的な態度を取る事のデメリットを理解していたので、出来るだけ丁重な口調で話すことにした。 「リゾット。リゾット・ネエロという。不躾で悪いのだが、気絶している彼らを運ぶのを手伝ってもらいたいのだが、お願いできるだろうか?」 その言葉にコルベールは、ああ、と軽く頷いた。別に了承したのではなく、失念していたことを思い出した、という様子だ。 複数形で話してはいたが、リゾットの仲間の事はすっかり忘れ去られていたらしい。 「そうだな、六人もの人間を学院まで運ぶのは難しいだろう。分かった。彼らはわたしが責任をもって学院に送り届けよう。君はミス・ヴァリエールと共に来たまえ」 そう言って今度こそコルベールは生徒たちに向き直り、宙に浮かんだ。 魔法使いと思わしき格好をしていることから、リゾットはこの可能性を頭のどこかで肯定していたが、想像と実際に見てみるとは大違いだという事を知る。 思わずぽかんとした間抜けな表情で、すうっと空中に飛び上がって静止するコルベールの後ろ姿を見上げる。さらに生徒たちも一斉に空へと浮かんだ。 およそ十メートルの高度で留まっている。ある意味でとても衝撃が強い光景だ。メローネなんかは飛び跳ねて喜びそうだが、あいにくとリゾットにそんな余裕は無い。 生まれて初めて見る魔法にひたすら唖然としていた。そうしているうちに、まずはコルベールが気絶しているリゾットの仲間たちを背後に浮かべて地平線の少し手前に位置している城へ向かって飛び出す。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「あいつ『フライ』はおろか『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」 「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ!」 次に生徒たちが口々にルイズをからかう言葉を残して去っていった。 これにはさすがのリゾットも、人間が宙を飛んでいくという画期的なシーンを目撃した興奮に砂をかけられた気分になった。 ある意味心沸き立つ光景であったため余韻に浸りたかったのだが、台無しである。が、そのおかげで現実に立ち戻ったリゾットは、横に居るルイズを見やった。 ルイズは先ほどの生徒たちの哄笑に怒りを感じているらしく、苛立ちを込めた視線で去っていく生徒たちの後ろ姿を睨みつけていた。 「あんた、なんなのよ!」 しかし、リゾットが自分を見ていることに気付くと、いきなりキレてきた。リゾットは一瞬この展開の速さについて行けずに目を見張る。 もっとも感情豊かなルイズに比べたら微々たる変化なので、相対するルイズは無反応だと感じたようで、さらに言葉を重ねるために息を吸った。 「なんで『サモン・サーヴァント』であんたみたいな平民を呼び出しちゃうのよ! ああ、ドラゴンとかグリフォンとかマンティコアとか……カッコいいのがよかったのに。それがダメだったらせめてフクロウとかワシとかそんな有能な使い魔を望んでたのに!」 どうやら癇癪玉が爆発してしまったらしい。地団太を踏んで悔しがっている。 リゾットはそんなルイズに向かってメタリカを発動させたかったが、仲間を全員生き返らせてもらった恩があるので何とか堪える。 ギアッチョだったら即行ブチギレて殴りかかるだろうな、プロシュートなら説教タイムに突入するだろう。と、苛々を紛らわせるために別のことを考えながら。 「…………それなのに、それなのに! なんであんたみたいな平民がのこのこ召喚されちゃうの?! 由緒正しい古い家柄を誇るヴァリエール家の三女であるこのわたしがなんであんたみたいな平民を使い魔にしないといけないの? ああ、わたしの人生お先真っ暗だわ!」 「………………それはすまないな。ところでミス・ヴァリエール」 全然申し訳ないと思ってない表情と声でリゾットは謝ってみせる。 ルイズはそれに対して、誠意が篭ってない! と怒鳴ったが、一応話を聞くつもりはあるらしい。じっとリゾットの目を見つめた。 「ここはどこなのか教えてもらえないか?」 「は? あんたそんな田舎から来たの? ここはトリステインよ。そして、あそこに見える城がトリステイン魔法学院! ちなみにわたしは二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエールよ。今日からあんたのご主人様だからね。ちゃんと覚えておきなさいよ」 だが断る。と、リゾットは返そうと思ったが、話がややこしくなるので止めておく。 その代わり新たに入った知識で推測を補強することにした。 (この国の名前はトリステイン。地球上には存在しない国だな。先ほどの魔法の件もあるから、ここは本当に正真正銘の異世界なのだろう。 そして、トリステイン魔法学院とか言ったな。ならばそこは国立校だと分かる。 その学校に通っているという事は、このルイズとか言う女はかなり身分の高い貴族だという事になる。そうして、貴族は平民を見下している。それもかなり徹底的にな) ルイズはその隣で、トリステイン魔法学院も知らない田舎者の平民を使い魔にするなんて。しかも、ファーストキスだったのに。 と、さらに嘆いていたが、自分の思考に没頭していたリゾットは余裕で無視した。 (とりあえず今はこの世界の情報を手に入れる事を優先しなくてはいけないな。ボスへの反逆でここしばらく緊迫した状態が続いていたからな……、少しは休息も必要だろう。それに……この女には恩もある) リゾットは飽く迄仲間たちのことを考えていた。成り行きで使い魔になってしまったが、人の実力を見極める事もできずに喚き散らすだけしか出来ない主人に忠誠を誓う気はまったく持ってない。 ――つまり、真面目に使い魔をやる気などこれっぽっちもないのである。しかし、ルイズに恩があることも事実。それを返さないことはリゾットの生き様にも関わる不祥事だ。 (恩を返すまでは使い魔として仕えるが、それ以後は………………この女次第だな) ちらりと横目でリゾットはルイズを見下ろす。彼女はまだリゾットたちを召喚してしまった事を嘆いていた。始祖ブリミルがどうとかこうとかと呟いている。 しかし、リゾットはこの我侭な少女が、まだ研磨する前の宝石のような存在である事を見抜いていた。
https://w.atwiki.jp/ansatusya/pages/21.html
-エピローグ- ( ●_・)「ニダーが死んだか… やはり奴では無理だったようだな」 ( ●_・)】「ペニサス、次はお前の番だ 抜かるなよ…」 『…………承知』 ( ●_・)(ブーン、どこまでも逃げ続けるが良い…) ( ´_ゝ`)「ボス、後の三人も大丈夫なのでしょうか?」 ( ●_・)「奴らなら必ずブーンを消してくれるはずだ 心配には及ばん」 ( ´_ゝ`)「そうだと良いのですが」 -ニューヨークマンハッタン- ( ●ー●)「ブーンがロスを出発しました 現地で出会った女と一緒のようですが」 ( )「そうか、このまま順調にいってくれれば良いのだが」 ( ●ー●)「大丈夫ですよ、アイツの事だ どんな修羅場も潜ってここへ来ます」 ( )「相当な自信だな、楽しみしているよ」 (ブーン早くたどり着いて見せろ……) 完 戻る ( ^ω^)ブーンは暗殺者のようです【大陸横断編】